求職者に尽くす求人サービスが
結果的に企業の利益に帰着する
内田 どのようにしてエン・ジャパンはスタートしたのですか。
鈴木 当社の前身は1983 年に大阪で設立した求人広告の代理店業を行なう「日本ブレーンセンター」という会社です。その後95 年に日本初のインターネット求人サイトをつくり、2000 年に十数人でエン・ジャパンを立ち上げ、東京に本社を移しました。
内田 現在の主な事業内容を教えてください。
鈴木 インターネットの求人サイトや人材紹介業に加え、教育や人事制度のコンサルティングなど人事全般の支援、若手からミドル、エグゼクティブまであらゆる求職者を対象にした求人求職サービスを行なっています。グループ会社ではエンワールド・ジャパンがグローバル人材に特化した人材紹介サービスを行なっており、このほかアジアを中心に海外7 カ国でインターネットの求人サイトや人材紹介業などを展開しています。社員数は連結で2300 名を越えました。
内田 世の中に求人サイトは多数あると思いますが、その中で御社が躍進している要因はどのようなところにあるとお考えですか。
鈴木 一言でいうと徹底的に求職者に尽くすということです。これは、言うのは簡単ですが、実践するのは大変なことです。人材業界のビジネスモデルは、企業からお金をいただき、求職者は無料で利用できるというもの。そのため、企業側を向いたサービス設計に陥りがちですが、当社では求職者に満足してもらうための姿勢を貫いています。
内田 クライアントの方を向くのではないのですね。
鈴木 そうですね。ただその姿勢が、最終的には企業クライアントに利益をもたらすと考えています。一般的に求人企業が求職者に雇用条件や会社情報を伝える際、真実を伝えているかといえば決してそうとは言い切れません。応募阻害となり得るあまり都合のよくないことは、伝えていないケースもあります。正確ではない情報を元に入社した求職者は、入社後に「何か違うな」とギャップを感じて離職につながる。これを繰り返すことで、企業は求人募集をかけ続けることになるわけです。一方、求職者も転職を繰り返すという悪循環に陥ってしまいます。
こうして転職マーケットが旺盛になれば、当社は潤うのですが、これは何かが間違っていると感じています。ですから求人企業には、少々耳の痛いことも真実を提示するように伝えています。最終的には企業にとって本当にマッチした人を獲得するために必要なことですから。求職者にもそれが伝わるので、数ある求人サイトの中でもエン・ジャパンは信頼できると思っていただけているのではないでしょうか。こうしたことを、信念を持って実行し続けているからこそ、ビジネスが好循環しているのだと考えています。
第29 回
トップ企業経営者は何を考えるのか!? 対談
第29 回 エン・ジャパン㈱ 代表取締役社長 鈴木孝二 × TOP CONNECT ㈱ 代表取締役 内田雅章
【月刊HOTERES 2017年07月号】
2017年07月07日(金)
エン・ジャパン㈱ 代表取締役社長 鈴木孝二
TOP CONNECT ㈱ 代表取締役 内田雅章