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第三講 「料理人の教育論」  第三講 ホテルオークラ東京 執行役員 洋食調理総料理長 池田 順之 氏

新本館開業に立ち会える幸運を、 若い料理人たちに理解させる

【月刊HOTERES 2017年05月号】
2017年05月12日(金)
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ホテルオークラ東京 執行役員 洋食調理総料理長 池田 順之 氏

 
料理の伝統継承のために重要なのは
100 回の言葉よりも1回の味わい
 
——後進育成の基本的な考え方を教えてください。
 
ホテルオークラには「Best A.C.S.」という経営哲学があります。Accommodation(施設)、Cuisine(料理)、Service(サービス)が三位一体となった形でマネージメントを行なっていくという考え方です。人材育成にあたっても、この経営哲学をかたくなに守ることを前提に、取り組みを打ち出しています。
 
現在、ホテルオークラ東京では、2019 年の開業を目指して新本館を建設中であり、これからのA(施設)についてはまったく心配ありません。S(サービス)については新本館の開業に向けて発展途上にあり、さらに一歩上のクオリティーを目指して人材育成の面でも力を入れているところです。
 
ありがたいことに、C(料理)についてはお客さまから高く評価していただいています。クオリティーを維持しつつ、新本館にふさわしい料理を提供できるように着実に積み上げを図っているところです。その心構えを若い人たちにも引き継いでもらえるように、私は人材育成につながる指導を日々行なっています。
 
——ホテルオークラ東京の料理の伝統を引き継いでいく難しさはありますか。
 
元総料理長の小野正吉ムッシュが、オークラの料理を創り上げました。小野ムッシュはホテルオークラに限らず、日本におけるフランス料理の礎を確立した偉人でもあります。ところが今の若い人たちは、世代的に小野ムッシュのことを知りません。そんな彼らに小野ムッシュの考え方を理解させて、ホテルオークラの味を受け継がせなければならないという意味での難しさはあります。料理の素晴らしさは、言葉で100 回言うよりも、舌で1回味わう方がずっと伝わるものです。ですから若い人たちに小野ムッシュの味を繰り返し体験させることで、日々覚えさせています。
 

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