㈱ビーワンフード 代表取締役社長
公認会計士/税理士
廣瀬 好伸 氏
Yoshinobu Hirose
京都大学在学中に公認会計士試験に合格し、あずさ監査法人に入社。主に銀行の監査に従事し、銀行の融資ルールを実地で学ぶ。その後起業し、その経験・ノウハウと公認会計士・税理士というノウハウで、飲食業に特化した「お金の専門家」として飲食店の成長をお金の面から支える㈱ビーワンフードと税理士法人ミライト・パートナーズを経営。『1 店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル 23 の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)を上梓。
飲食店に特化してお金に関するコンサルティングを提供する株式会社ビーワンフードの代表取締役を務める公認会計士/税理士の廣瀬好伸氏が、お金にまつわるケーススタディーを語ることで、飲食店経営における問題点と解決の糸口を探っていく。連載第8回は、「実際の損益計算書を元にどのように数値管理するべきか」語っていただいた。
~踏み込んだマネジメントを可能にするPL 作り~
〈表1〉のような株式会社ABC の本店の3 月度のPL(損益計算書)があったとします。
これだけでは何をどう分析したらいいのか分かりにくいと思います。
では、〈表2〉のようなPL であればどうでしょうか?
これであれば表1 に比べて「傾向」が分かります。例えば、売上が増加傾向なのか減少傾向なのか、他の月に比べて多いのか少ないのかが分かるので、減少傾向なのであれば原因が何なのか、他の月に比べて多ければ原因が何なのか、といった検証につながります。
人件費についても、「2 月から給与手当(社員人件費)が増えているので社員が1 名増えた」「その割には2 月の雑給(PA人件費)が減ってないのは増えた社員の初月の教育研修期間として余裕を持ったシフトを組んだ」「3 月からはその新人社員も慣れてきたのでPA のシフトを抑えることができて雑給が減るはずだが、また3 月に雑給が増えてしまっているのは何故だろう」というように分析でき、3 月に雑給が増えた原因を考え、4 月以降の人件費コントロールに活かすということができます。
経費についても、たとえば、消耗品費を見てみても、表1 であれば3 月の消耗品費が400 千円であることしか分からないですが、表2 であれば他の月に比べて明らかに多額なので、何に使ったのかを確認し、使い過ぎであれば改善する、といった改善行動につながります。
つまり、単月ではなく推移を見て傾向をつかみ、悪化していれば原因を解明して改善することと、他の月との比較を行って異常値であれば原因を解明して必要に応じて改善することが重要です。