㈱セラヴィリゾート泉郷 代表取締役社長 小西 滋 氏

 
　10 年後のわが社を思い浮かべてみた。
　運営施設は計画通りに増えているのだろうか、わんわんパラダイスホテル事業はリーディングカンパニーとなり日本中に存在するわが社のわんわんパラダイスホテルに愛犬家の喜ぶ顔が存在するのであろうか？
 
　43 年前、私が大学を卒業し就職先に選んだ外食産業の勢力図は今ではまったく面影のないものになっています。　日本の各地にうまれたスーパーマーケットはGMS と呼ばれる総合型のスーパーマーケットに拡大し百貨店を凌駕したが、今はその地位をコンビニエンスストアに奪われてしまいました。
 
　絶大な売り上げを誇るコンビニエンスストアさえも生き残りをかけた統廃合が繰り返され今度はネット上の敵との戦いを余儀なくされています。
 
　これらのサービス業の変遷がたかだか50 年の歴史の中で起きたのだからすさまじい世の中の変化だと思うしかないが、ある意味では企業が会社の拡大だけを追い続けたことにも原因はあると思う。
 
　その中で当社は今創業47 年の歴史を持つリゾート会社として幸いなことに生き残ることができ、ささやかながら成長も続けています。
 
　いくつかの失敗を繰り返し、世間に迷惑をかけたこともありましたが何とか荒波を乗り越えることができました。これからわが社は何を求め、何に向かってベクトルを合わせていけばよいのか、その答えは一つだと私は思っています。
 
　わが社の経営理念は『私たちは、リゾートを通じて、お客様の喜びを創造することにより、健康で豊かな明日をつくります』というもので、お客様の心に寄り添ったサービスを提供して喜んでいただいて、良い思い出の中でわが社も共存していきたいという思いがこめられています。
 
　わが社の顧客はオーナー様と呼ばれる別荘の持ち主、法人会員、個人会員、そしてホテルのハードリピーターと幅広いチャネルの中にたくさん存在しています。最近ではわんわんパラダイスという愛犬と泊まれる宿泊施設が好調なのでたくさんのワンちゃんからも愛されるようになってきました。
 
　しかしながら40 年前働き盛りで成功し別荘を建てたオーナー様たちも今では古希を越え年金生活者になっています。
 
　全盛期には700 社を超えていた法人会員も半数になりました。会員権ビジネスの新しい需要であるはずの若年層では旅行の形態も変わり多くの若者はホテルの予約さえスマホで自由気ままにとるスタイルを好み、会員になる需要が大きく減少しているのが実情です。
 
　その中で当社が成長を続け、普遍的にリゾートを通じてお客様の喜びを創造し続けることなど本当にできるのでしょうか？
 
　ホテルも別荘も新築されたときから劣化が始まります。それにもかかわらずお客様が毎年利用し続けてくださるのは当社にそれなりの魅力があるからだと私は思っています。ロケーション、料理、おもてなしの心、その中にお客様の心をつかんで放さないものが一つでもあればお客様は支持してくれるものです。そのための努力を私はいといません。世界がどう変化しても人の心は変わりません。映画にしても音楽にしても優れた作品は何年時を経ようが劣化することはないのです。
 
　経年劣化が目立ち、お客様の心が離れていくのはその会社に顧客をおもんばかる心がなくなっていくからです。チャップリンの映画が何年たっても愛されているのはその作品の中に愛があふれているからこそです。
 
　当社にお客様を愛する真心があれば人は変わらず足を運び、セラヴィリゾート泉郷を愛し続けてくれるでしょう。
 
　奇をてらったハードや趣向を凝らしたイベントも時を経れば色褪せるものです。求められるものは人心を動かす喜びであり、相手の心をつかんで離さないサービス業の原点に寄り添う心です。その原点を働くすべての者が忘れることなく努力する会社であれば10 年後のわが社も人から愛される会社として輝いていて、たくさんの人々の心の中に喜びを創造し続けることができるのだと私は思います。
 
㈱セラヴィリゾート泉郷
http://www.izumigo.co.jp/