私は過去にダイビングのインストラクターをしていましたのでインストラクション(プレゼンテーション)の際には上述の全体構成とAIDMAは意識して使っていました。
例えば「ダイビングのマスクの説明」というモジュールがあるのですが、これは重要ではあるものの座学の中でも正直、面白くない部類の講習でした。ここではアイスブレイクによりその場を和ましながら相手を自分の世界に巻き込む必要(Attention&Interest)がありましたので、私は教壇に立つときにマスクの中に水と生きた金魚を入れ、それを被って登場しました。当然、受講者はぎょっとする者、笑う者、釘付けになる者と分かれましたが注目度は100%。
そして「人間は水の中に裸眼で入ると目がぼやけます。水の中でものをはっきり見るには水と目の間に空間が必要なのです。それを賄うのがマスクです。これがないと人間は水中でものが見えません。ですので、マスクのことを皆さんは知らなければならないのです」と伝えていました。(Desire&Memory+知る必要があるという理由づけ)
こうして講習はマスクの特性や使い方、そして最後は購入についてのアドバイスをし、そのモジュール終了後には皆さんその日の内にマスクを購買されるのです。(Action)
このようにAIDMAを利用し、何とか面白みのないものでも興味の世界に引きずり込み行動を促がさせるのです。
誤解を恐れず言えば、自分を売り込む事は物を売り込むことと同じです。なぜ必要で、何ができるのか。その枝葉が注意を引くことや和ますこと、そして最終的には興味をもたせ行動に移させることが肝要なのです。
しかしながらこの数年で概念も変わり今はAIDMAでなくAISAS(Attention注意、Interest関心、Search 検索、Action行動、Share共有)が主流な考え方です。SNS全盛の現代でSearch(検索)とShare(共有)は今や必須の行動です。
プレゼンでは特にShare(時間の共有、感情レベルの共有など)のもつ効果を知っておきたいものです。
- 福永 健司 プロフィール