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第1回 Business Revitalization 事業再生を科学する! 

第1回 Prologue プロローグ

【月刊HOTERES 2016年10月号】
2016年10月07日(金)
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㈱五十嵐マネジメント・サポート
代表取締役コンサルタント
五十嵐 茂樹
〈Profile〉1954 年福井県生まれ。大学を卒業後、㈱ロイヤルで店長・エリアマネジャー・営業部長・教育部長を歴任し、その後、㈱アレフで営業統括として「びっくりドンキー」の全国展開を指揮する。さらにその後、多数の企業再生を手掛けた後、それまでの経験をもとにプロ経営者としての道を歩む。2005 年㈱ジャパンフードシステズ代表取締役社長(タパス&タパス)、2008年㈱コロワイド東日本代表取締役社長(甘太郎・北海道等)、2012 年㈱ダブリューピィージャパン代表取締役社長(ウルフギャングパックカフェ)・㈱レインズインタナショナル代表取締役社長(牛角・温野菜等)、2014 年カッパ・クリエイト㈱代表取締役社長(かっぱ寿司)の再生を手掛けた後、2016 年7月より再びフリーランスとして企業再生への道を歩みだす。
http://www.igarashi-ms.co.jp/index.html

数々の外食産業で事業再生に携わってきただけでなく、外資系ホテルチェーンでの学びと体験を生かして、ホテル・レストラン業の現状を分析・改革・向上につながる視点を「週刊HOTERES」読者にお伝えする。

プロローグ
 連載するにあたり、まず、私のプロフィールからお話しします。私は大学を卒業後、地元の商社に一度入社しましたが、その後、チェーンストアが一般大衆を豊かにするという夢にひかれ、1980 年に㈱ロイヤルに入社し、一般社員・店長・エリアマネジャー・営業部長・教育部長を歴任しました。ここが私の仕事のベースとなっています。特にチェーン展開の考え方やマネジメントの基本においては、20 代から毎年2 ~ 3 度の米国視察などで直に学び、また、ホスピタリティーの考え方については、マリオットでの宿泊やマネジャーミーティングを通じて学びました。もちろん、ロイヤルの創業者である故江頭ファウンダーからは、レストランマネジメントの基本、ホスピタリティーの考え方、それに、外食の産業化による社会貢献等々、数多くの学びを得ることができました。この仕事のベースを下に、1994 年からは、株式会社アレフで営業統括としてびっくりドンキーの全国展開を指揮しました。ここでは特に、人をつくりながら出店をすることを基本に、単に店数だけを増やすのではなく、より良い店を増やすことを大切にしながら人材と店数のバランスを取ってきました。その結果として、店数を増やしながら既存店の連続前年成長を何年も果たすことができました。ここまでの22 年間が私の仕事の第一フェーズで、組織で仕事の成果を挙げることでした。
 
 その後、2002 年に㈱五十嵐マネジメント・サポートを主宰し、ホテル&レストランを中心に多数の企業再生を手掛けた後、それまでの経験をもとに、事業再生を専門とするプロ経営者としての道を歩み出しました。そして、2005年からまず、㈱ジャパンフードシステズの代表取締役社長としてタパス&タパスの再生に取り組み、次に、2008 年からは、㈱コロワイド東日本代表取締役社長として、甘太郎や北海道といった居酒屋を中心とした事業の強化を図りました。そして、2012 年には、㈱ダブリューピィージャパン代表取締役社長として、ウルフギャングパックカフェの収支構造改革に取り組み、同時に、㈱レインズインタナショナル代表取締役社長として、牛角や温野菜、それに、土間土間などの再生に取り組みました。ここでは特に、ブランドの再構築と併せて、フランチャイズ本部としてフランチャイザーとフランチャイジーの機能と役割、それに、お互いの信頼構築に努めてまいりました。そして、2014 年からは、カッパ・クリエイト㈱代表取締役社長として、かっぱ寿司の再生を手掛けました。ここまでの15 年間が私の仕事の第二フェーズで、事業再生を専門とするプロ経営者として、仕事で成果を挙げることに専念してきました。
 
 私の基本的な役割は、常に進むべき方向性を示すことであり、仕事のベースづくりです。もちろん、収支の構造改革を断行し、価値判断基準の統一といった基本中の基本をしっかりと組織内に浸透根付かせることでもあります。そして、それらを可能にする人材の育成には、大いなる情熱と熱意を持って、多くの時間と労力を費やしてきました。私にとっては、企業規模の大小はあまり関係のない話です。いつも思うことは、どんな企業であったとしても、それを再生し、その結果として、そこで働く人たちを幸せにすることです。これが私の仕事におけるミッションでもあります。
 
 そして、この2016 年7 月から私の仕事の第三フェーズがスタートしました。
 
 目標は生涯現役で、各企業様や各地域社会、それに、産学連動で社会に貢献できる仕事をすることです。それは、世のため人のためにお役に立てる人生を送ることでもあります。以上が、私のプロフィールになります。

プロとは
 約15 年前に「サラリーマンもフリーエイジェント。サラリーマンもプロの時代がやってきた!」と、いうタイトルで原稿を書いたことがあります。それは、読者に対しての提言でもあり、それを自らが実行する、自分自身に対しての覚悟を決めるためのものでもありました。そんな意識が、仕事をする上では何より大切だと思っていす。最近では、そんなプロ経営者ということがもてはやされていますが、本来プロとは、結果に責任を負える人たちのことで、単に経営者だけのことではないはずです。そこには、プロといわれるウエイターやコック、それに料理長や店長、さらには、支配人やマネジャーがいるはずです。もちろん、プロの部長がいて、プロの経営者もいるはずです。
 
 その人たちの共通点は、自分の仕事に責任と誇りを持っており、自らが考え、そして、自らが行動し、自らの力で結果を変えられる力を持っている人たちです。今までに、そういう仕事をしている人たちをたくさん見てきました。間違っても、言われたことだけをやる作業者であったり、問題を放置したり、問題を先送りする名ばかり店長や名ばかり支配人では決してありません。彼らは、常に問題と向き合い、そして、その問題を解決するために、自らが考え、自らが率先して行動する人たちです。そんな仕事をしている人たちが真のプロと言える人たちです。
 
 事業再生にも、そんな人を一人でも多く育成することが欠かせません。特にわれわれホテル&レストラン業界は、労働集約型産業で、一人一人の仕事ぶりで、お店やホテルの人気や評判が決まることから、全員がプロになる必要があります。
 
 それは、一人一人の仕事振りがお客さまとのコンタクトポイントの評価になり、一皿の料理のおいしさになり、隅々までのお掃除につながるからです。まさしくわれわれの業界こそ、すべては、人に始まり人に終わります。

学びと気づきが大切
 経営は、学びと気付き、それに、実行が何より大切です。
 それは、新たな学びと気付きが、新たな行動につながるからです。
 そして、新たな行動が次の成長への道のりを歩むことになるからです。
 これは、事業再生においても大変重要なことです。
 
 それは、単に指示命令だけでは、絶対に良くなることはないし、当然、事業再生もできないということでもあります。
 
 そこに必要なことは、新たな価値判断基準や行動基準です。さらには、全員が自ら考え、自ら行動できるようになるための、情報の共有化やノウハウの共有化、それに、新たな制度や仕組みも必要になってきます。そして、それらが、全員の新たな学びや気づきにつながり、新たな行動へと結びつきます。私がいつも願うことは、その流れが止まることなく、確実な横展開と全員への浸透です。そのための、学びの場と気付きの場を構築することも事業再生では欠かせません。
 

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