北村剛史
Takeshi Kitamura
㈱ホテル格付研究所 代表取締役所長
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士、MAI( 米国不動産鑑定士 )
MRICS(英国王室認定チャータードサーベイヤーズ)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である㈱日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事
以前、顧客満足度の方程式の一つをご紹介しました。当該方程式は、「顧客満足度」の高さ=「ホテルの人格」認知×「客層の統一感」認知というものでした。これはホテルに対して人格を感じると同時に客層にも統一感を感じ取れれば、ホテルに対する高い満足につながりやすくなる傾向を示しています。またホテルの人格は、フロントスタッフなどのスタッフ接遇力が高い場合に、人に備わる共感脳、あるいは社会脳と言われる「ミラーニューロン」を介しておもてなしを提供しようとするスタッフの背後意図が伝わり、その結果、当該スタッフの背後意図と一貫性があるハードウエアやサービスメニューなどに注意が行きやすくなる結果、ハードウエア、ソフトウエア、ヒューマンウエアが一体として、どのようなサービスを提供しようと考えているのかという究極の背後人格に行きつく、その結果が、不動産であるホテルに人格を帯びさせているという「ホテル人格」をご紹介しました。
また、客層の統一感については、ホテルブランドのコンセプトやブランドメッセージが影響します。顧客はほかの顧客と会話することはほとんどありません。結局は、当該ホテルブランドのメッセージなどが明確な場合に、それらメッセージやコンセプトなどに共感する顧客層が当該ホテルを使用しているのであろうと推測される結果として、それら「客層の統一感」につながっているというものでした。以前に実際のホテルにアンケート用紙を設置させていただき客層の統一感に影響を与えている要因調査を行なった際(回答数260 件)、客層の認知には、特に「コンセプト(接客)」との関係(相関係数0.55)や「コンセプト(サービス)」との関係(相関係数0.51)が強いという結果が得られました。
ここで改めて、どのような客層を望ましいと感じているかを再度見てみます。