■ Case Study 6
理念浸透、って結局、どうやって浸透させていくの?!
都内の大型商業集積施設を管理するクライアントからの相談がありました。
“ 当方が管理する施設には、商業集積に加えてオフィスやレジデンス(居住棟、居住者)もあります。そのため、それらを維持、管理していくだけでも20 社ほどの管理会社と契約し、その管理運営を行なっています。各社の業務に関しても、清掃をはじめとして、警備、受付案内、メンテナンス、駐車場、配送、植栽などと、多岐にわたり、また清掃だけでも数社と契約するという、とても複雑な形態となっています。そしてさらに各社にはそれぞれの経営理念や運営方針があるため、なかなか当方の目指す街づくりの理念を一本化するばかりか、浸透させることができないのが現状です。そのような環境の中、どのようにしたら、理念を浸透できるのですか?” と、管理担当部署からの内容でした。
そもそも、私が育ったディズニーランドも、開園した当時は当然のごとく、前述のような各業務に関して、いわゆる“ 外注”、外部の専門会社に業務を委託して管理を試みました。しかし、その代表であったウォルト・ディズニー氏は、各社それぞれの理念や方針で運営する状況を目の当たりにして、“Give Happiness” というディズニー社の経営理念をすぐには統一、浸透できないと判断し、全社すべてとの契約を解約し、自社の専門部署を立ち上げ、すべての業務を自社で行なうという方針転換を図ったほどでした。また、加えて、このような専門性の高い業種に従事するスタッフは、一般的に業務に黙々と臨むあまりに、職人気質や特有の風土を“ 当たり前” として受け入れ、組織内においてもコミュニケーションや社交を図る機会が少なく、いわゆる“ 協働” 感覚に乏しい人材が集まる傾向が高いのが現状であったりもします。
そのような環境において、一つの理念を各社の全員に浸透させるということは、可能なのでしょうか?
一見すると、理論上でも不可能なように思えてしまえるこの状況ですが、この解決法は、こう考えてみるのです。“ あなたの本来の仕事は、そもそも何ですか?” と、「仕事の本質」について問うのです。
それぞれ各社の業務や作業はまちまちですが、最終的な本来の、各社の“ 仕事” の目的を問い、その目的達成のためのフローを整理するところから始めていきます。
その具体的な方策として、以下の3段階を説明していきます。
第6回
大住力の マジカル★チームの創り方 ~ゲストとスタッフがハッピーになる仕事の仕方~
Case Study 6 理念浸透、って結局、どうやって浸透させていくの?!
【月刊HOTERES 2016年01月号】
2016年01月22日(金)