株式会社Aカードホテルシステム(本社・東京都千代田区)は3月12日、同社会員へアンケートを実施した「出張ビジネスパーソンのホテル利用実態」ならびに、加盟ホテルを対象とした「経費アンケート」の結果を発表した。
両アンケートは2009年より毎年実施しており、今年度の「出張ビジネスパーソンのホテル利用実態」は2025年1月8~14日の間に調査を実施し、同社会員の約158万人のうち4971人(全会員のうち約0.3%)の回答結果をまとめたもの。
はじめに「出張の際の宿泊規定」についてまとめられた図表1(有効回答3744人)を見てみると、「実費精算」の割合が59%、定額制が34%、その他6%と、同社が調査開始した2009年以来、実費精算の割合が過去最多となった。
なお、年々実費精算の割合は増加傾向にあり、同規定では宿泊上限額に収まる範囲内で価格よりも質やサービスを重視する傾向が強まることとなる。それぞれの精算方法における加重平均価格(有効回答3441人)は実費精算8354円(前年7751円)、定額制7541円(同6882円)の結果。
また、近年は全国的にホテルの客室単価が上がり、2018・2019年を超える過去最高の水準で推移している。この動きに対して各企業は宿泊費上限の規定に関し、同調査より「出張先が東京・大阪」の際は29%(有効回答3545人)の割合で上限額が上がり、「出張先が東京・大阪以外」の際は26%(有効回答3596人)がこの1年間で上限額が増加することとなった。
次に「利用検討する際に、評価する付帯サービス・施設」についてまとめられた図表2(有効回答1万147件、複数回答可)を見てみると、「全国複数の加盟ホテルでポイントが貯められ、キャッシュバックができる」(30%)が最多割合であり、以下、「インターネット広告代理店のポイントサービス」(25%)、「ホテル独自のポイントサービス」(22%)、「販売客室料金の最低価格保証」(14%)、「航空会社や鉄道会社などの提携マイルが貯まる」(7%)と続く。この傾向に例年大きな変動は見られないが、同社会員においてキャッシュバックシステムが宿泊施設を選ぶ際に大きく影響をしていることが判別できる。
また、「他のホテルに切り替えようと思った理由」(表3、有効回答9042件、複数回答可)では、「宿泊料金の納得感」(25%)、「立地、交通の利便性」(19%)、「部屋の設備・雰囲気」(18%)、「特典やメンバーサービス」(12%)と並んだ。最多回答の「宿泊料金の納得感」に関し、2021年より若干ではあるものの上昇傾向にあるのは全国的な客室単価上昇が影響しているものと思われる。
ほかにも、同調査によると「ホテルの予約に使用する機器」(有効回答6739件、複数回答可)の項目では、「パソコン」経由が2023年時46%、2024年時45%、2025年時43%と減少傾向で推移。半面、「スマートフォン(iPhone&Android)」は2023年43%、2024年46%、2025年47%と上昇傾向にあり、2023年12月時の同システムのアプリリニューアルに伴い、自社会員の予約におけるスマートフォン利用が促進される結果となった。
同社が加盟ホテルに毎年行う「経費アンケート」、今回は朝食について触れる。228ホテルの回答ホテルのうち、直営190ホテル、テナント契約30ホテル、その他(オーナーの営業、外注食材設置など)8ホテルの結果をまとめたもの。
図表4「朝食形式と販売価格および原価」より、「有料朝食」が89%の割合、「販売料金平均」の価格は1024円、「原価平均」は584円、「原価率」は57.0%となった。「1000円以上の和洋バイキング」が60.8%と最も大きな割合を占め、同価格帯・提供形式での平均品目数は36品(前年35品)。
コロナ禍でホテル業界では朝食提供に関し、ブッフェ形式での提供を取りやめる動きがあったが近年、ブッフェ形式が再び主流になってきている。加えて、食材原価の高騰により朝食販売価格が上昇する傾向にもあった。宿泊料金ともに近年上がり続ける販売価格に関し、「納得感」が今後さらに求められていくことと予想される。
●原典 https://www.acard.jp/photo/2025_research_release.pdf
●関連記事「会員アプリリニューアルで利便性を大幅向上、独立系ホテルの加盟店が集う第『27回Aカードトップ会』開催」
https://www.hoteresonline.com/articles/14046
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文・オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp