リゾートトラストが運営する完全会員制のホテル「東京ベイコート倶楽部」。神戸の「芦屋ベイコート倶楽部(2018 年2 月開業予定)」やエクシブブランドで鳥羽、山中湖、軽井沢、箱根離宮、有馬離宮、湯河原離宮(2017 年3 月開業)など、まさに日本を代表する立地やリゾートで会員制ならではのおもてなしを提供している。そこで今回はヒルトンホテル、シェラトンホテルの経験を持つ上田健司氏に、管理職として欠かせない人材育成の在り方をお聞きした。
枠の中に収まる世代
福永 上田総支配人はヒルトンホテルなどの外資系をはじめ、豊富なホテル経験をお持ちですが、ホテル業界に長年携わっていらっしゃる中で、近年、人材や人材教育などの変化について、お気付きになっていることをお聞かせください。
上田 今の若手スタッフを見て一番感じることは競争心が足りないことですね。自分自身のホテルマン駆け出しのころは“あいつには負けたくない!”というライバル心がありました。“負けないためにはいろいろなことを誰よりも先に覚えよう!”という気持ちで積極的に行動していました。またチームのために頑張る気持ちが常にありましたね。新入社員として最初に配属されたベルのときも、チームの責任者であるアシスタントベルキャプテンのために、そしてシフトごとに編成されたチームの中で、部下としてチームの一員として迷惑をかけてはいけないという気持ちで仕事に挑戦していました。私に限らず皆個々に、個のモチベーションがあり活気づいていましたね。
福永 わずか数十年でこれほどまでに変わってしまった要因として、家庭環境や職場環境の変化なども起因しているように思われます。誰かと競争をしなくてもそれなりの生活が守られていますし、争いごとを極力させない教育環境で育った背景もあるかもしれません。
上田 枠の中に収まり、自分からチャレンジせずに与えられた仕事はきちんとこなすという受身の発想で仕事をしています。もちろん、与えられた仕事を確実にこなしていれば職場内においても個人の生活においても維持はできます。ところが攻めのサービスができなければ、顧客満足を追求することが使命のホテルとして価値は下がります。