----コロナ以降、特に対面接客を有する業種を希望する人が減少傾向にあります。人材不足に対し、どのようなアプローチで人材を確保していますか。また職場としてどのような環境の実現に留意していきますか。
世界中で各職業に対する考え方が変容したのは言うまでもありません。ただ、アフターコロナのいま、世界の経済を回復させる要素の一つとして観光は重要なコンテンツだと考えます。当ホテルは、福岡では 25年ぶりに開業するインターナショナルホテルとなります。これが意味することは、これまで以上にラグジュアリー層を獲得するための再形成が行なわれていくということです。
採用したスタッフの中には、コロナを機に地元に Uターンした人、活況の地で新たなキャリアを形成したい人など、この地で働きたいと考える資質の優れたスタッフが多くいます。これからはすべてのスタッフが、着実にステップアップを遂げながらも働きがいのある職場環境を保っていくことが必要となります。そのために私は、有能な人材を惹ひきつけ、雇用し、育成することで、彼らの潜在能力を最大限に引き出し、彼らが描くキャリアの願望を満たす素晴らしい仕事の機会を創出することを約束したいと思います。
----これまでのキャリアをふまえて、ホテルで働くこととはどのようなことですか。その楽しさやすばらしさを教えてください。
これまで 7カ国九つの街のホテルで働いてきました。一貫して言えることは、まずはその土地の文化、歴史をしっかり理解することが重要ということです。お客さまは、その土地のコンシェルジュとしてホテルパーソンを見ます。
例えば、「博多どんたく」は約 840年前(1179年)に開始された伝統的な民俗行事が起源とされることや、博多湾は 12世紀後半に2度もフビライ・ハンが攻めてきたものの「神風」によって成し遂げられなかったという神秘的な逸話など、風土や歴史的背景を知ることはホテルパーソンとして、またグローバルで働く要素としても大切な姿勢です。その土地の魅力を伝達する役割があることを踏まえて、日々、生活をすることも大切ですし、それを楽しいと思えることがこの仕事のやりがいにつながると考えています。
またお客さまのために尽力するには、私たち自身が普段から信頼しあい、同じ信念を抱いていなければ成しえることはできません。ザ・リッツ・カールトンが誇る部署間の垣根を超えて他部署同士が一つの目標にむけて業務に携わる「ラテラルサービス」を基に、ホスピタリティを醸成する努力を惜しまないことがホテルパーソンならではのクリエイティビティであると考えております。
2023年12月15-22日号 トップインタビュー ザ・リッツ・カールトン福岡 総支配人ラドゥ・チェルニア 氏
トップインタビュー ザ・リッツ・カールトン福岡 総支配人ラドゥ・チェルニア 氏
【月刊HOTERES 2023年12月号】
2023年12月21日(木)