お客さまが抱く期待値を超えない限り会員制ホテルのビジネスは継続できない
----富裕層に訴求するために、ホテル市場においてどのようなポジションを築く必要がありますか。
国内で 40軒以上のホテルを展開しているリゾートトラストの使命は、オーナーにとってホテルを利用することがライフサイクルにおいて欠かせないものにしていくことだと考えています。
たとえば月に1度か2度、ホテルを訪れないと体調が整わない、気持ちをリフレッシュできない、仕事に対する活力が湧かないといったように、オーナーのライフサイクルの中でリゾートトラストのホテルが重要な位置にポジショニングされていなければならないと考えています。
リゾートトラストのグループ内には会員権事業、メディカル事業、シニアライフ事業など、一生涯を通じてオーナーとお付き合いするためのグループ事業がたくさんあります。そうした事業とホテルがしっかりと結び付きながら、新しいサービスの展開を推進していこうと思います。
----サンクチュアリコート琵琶湖の会員権購入者の中心年齢層を教えてください。
40代、50代が圧倒的に厚くなっていますので、これまでリゾートトラストが展開してきたエクシブよりも若い世代の方が中心になっているという印象を持っています。
私たちが常に考えているのは、お客さまが抱いている期待値を超えない限り、会員制ホテルというビジネスは継続できないということです。サンクチュアリコートは新しいブランドですから、その期待に応えられるコンテンツを従来以上に作り込んでいく必要があります。
その上で都市圏にあるリゾートトラストの既存ブランドとは異なる特色を明確に打ち出していくことが、サンクチュアリコート琵琶湖には求められています。
----開業までの準備期間において、最も注力しようと考えているのはどの部分ですか。
開業準備期間にできることはたくさんあると思いますが、現段階ではホテルを建設中であることから、しっかりとコンセプトを固め、そのコンセプトに沿ったホテルに必要なハードウェアを導入していく作業が中心になっています。
開業の半年前、3カ月前にコンセプトを固めているようでは間に合わないので、今の時点で私たちオペレーション側の考えを開発や建設のスタッフに確実に伝えなければならないのです。開業後にホテルを実際に運営することになるスタッフの思いがホテル建設の現場でも共有されるように、コミュニケーション活動を続けていきます。
議論を続ける中で、逆に開発や建設の側から適切なアドバイスをいただくケースも多々あります。お互いに活発に議論しながら新しいものを創り上げていく中でまた新たなアイデアが生まれる流れは非常に多いと言えます。
私では思い付かない考え方やアイデアも、開業準備室のスタッフからたくさん出てきます。さまざまな経験を持っている彼らとのコミュニケーションを通じてアイデアをブラッシュアップしていくステップは、とても刺激的で面白いと感じています。