仕事を続けていると1つの失敗から次の成功が生まれ、大きな喜びにつながる
----スタッフが働く環境づくりについて、どのように考えていますか。
10年、20年前に比べて、今の働き方は多様化しています。性別、人種、宗教、学歴、経験の違いは取り払って、個々の中にある才能をしっかりと生かせる環境を構築していきたいと考えていますし、さまざまな才能を持つ方々に集まっていただきたいと願っています。
サンクチュアリコート琵琶湖が立地する滋賀県高島市の皆さまは、これまで私が経験してきた中でもホテルの進出について特に協力的です。私たちとしても地元の食材、産業、雇用の面で積極的に貢献し、高島市の住民の方々に我が町の自慢にしていただける事業所にしていこうと考えています。
私がスタッフに思っていることですが、私は1日 24時間のうち8時間が仕事、8時間がプライベート、8時間が睡眠という割合をベースに置いています。つまり仕事に費やしている時間は家族と同じくらい仕事仲間たちと一緒にいる時間であり、そのことはとても重要だと思うのです。
私は家族と同じくらいの絆と志を仲間たちと共有しながら仕事をしたいと思っています。仕事での失敗はたくさんあるでしょうが、失敗にめげずに果敢に挑戦するスタッフに入ってきていただきたいと願っています。
最近10年、20年は時代の変化が特に速くなりました。スマートフォンの普及により情報が拡散するスピードが増していることなどを背景に、世代間の考え方の違いも大きくなってきました。その違いに私たちは寄り添わなければなりませんから、特に若いスタッフの考え方をしっかりと聴きながら、それを運営に生かしていく必要があります。重要なのはコミュニケーションであり、よく話をすること、そしてスタッフの姿をよく見ることだと思います。
----サンクチュアリコート琵琶湖では、どのような形で組織全体の思いを共有していきますか。
ホテル単体としては、基本的に四半期に1回のペースで全体朝礼を行ないます。そこで話されるのは、前期に自分たちがアウトプットしてきた業績や顧客満足度とともに、従業員満足度をベースとした内容になります。「安心」「安全」「コンプライアンス」「ES」「CS」「業績」「ブランド」という運営に関する7つの指標値を見て、その反省を踏まえながら今期の修正を立てていくのです。交わされる議論においては、すべてのスタッフの意見を引き上げていきます。
コミュニケーションというものはワンウェイではなく、ツーウェイ、スリーウェイでなければ成り立ちません。優秀なリーダーほど人の話をよく聴くものですし、自分の思いも熱く伝えます。人の話を聴いて、理解して、実現するための手助けをするのがリーダーの重要な仕事だからです。
----若い人たちの採用について、どのような考え方を持っていますか。
自分が行なったアウトプットに対して、ダイレクトに「ありがとう」「あなたがいてくれてよかった」「あなたがいるからまた来るね」と即座に言っていただける職業は、ホテリエ以外にはなかなかないと思います。
その喜びこそが私たちの仕事の醍醐味なのですが、そのような仕事の面白さを経験したことのない若い方々はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。私たちの側から、ホテルの仕事の魅力をもっと強く伝えていかなければならないと考えています。
仕事を続けていると、1つの失敗から次の成功が生まれてくるものです。たとえ失敗しても、その教訓を次なる成功につなげられたときの喜びは大きく、そこから得られる成功体験や成長実感を味わえるのがホテリエという職業であることを、これからも訴求していきたいと思います。