銭湯絵師により描かれた富士山とMONSTER X。“KAWAII”はポップやサブカルといった現代的なものだけでなく、古き良き日本を象徴するものとも思いのほかしっくりくるから面白い。文化遺産とのコラボなど、従来の観光コンテンツに新たな顔をもたらしてくれる可能性も大きい
インバウンドに絶大な人気の場所、原宿にあった「KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKU」。そこでは増田セバスチャンプロデュースによる日本の“KAWAIIカルチャー”を食とエンタメで体験でき、日々海外からの観光客を魅了していた。そこからコロナ禍に進化系MONSTER GIRLとして誕生したのが、MONSTER Xだ。既に世界では、新たな“KAWAIIカルチャー”のシンボルとして認識されている彼女たちを、インバウンド復活後の日本観光におけるポテンシャルと共に紹介する。
Ciel_Melty(シエル_メルティ:写真左)、Catherine_Jelly(キャサリン_ジェリー:写真右)
チャンスはTikTokからやってきた!
MONSTER Xは、サウジアラビアで2か月間に渡り開催された「ジェッダ・シーズン2022」における、現地で人気のある日本アニメを集結させたパビリオン「アニメビレッジ」のメインステージでのパフォーマンスゲストとして招聘された。日本からアニメソングの人気歌手も複数キャスティングされている中でのオファーに、彼女たち、ひいては“KAWAIIカルチャー”に対する評価の高さを垣間見ることができる。このイベントに出演したMONSTER X のCiel(シエル)とCatherine(キャサリン)に感想を伺ったところ、
「サウジアラビアは女性が肌を出してはいけないので、普段は露出している部分を隠すなど現地仕様に少し“変身”が必要だったのですが、でも文化の違いを超えて“KAWAII”を楽しんでくださっているのを体感する場面がたくさんあり、とても貴重な経験をしたと共に嬉しい出会いの多い体験でした。特に現地で女性はSNSなどへの投稿行為が禁止されているのですが、ものすごくたくさんの方が私たちの写真を撮ってくれて、あまりの多さにグリーティングの時間を増やしたくらいです。また言葉が通じないからこそマインドを伝えようという気持ちでパフォーマンスしたのですが、みなさんが喜んでくれる様子を見て、音とか動きとか、五感を使って楽しんでもらえるエンタメの力を再認識しましたし、もっとそういうことを表現できるアーティストになりたいと思いました。そういう意味ではモンスターとしての“Ciel”の在り方を考えたり、気づくことが凄く多かった経験でした。あと、そもそもあまりカラフルなものがない文化なので、ホテルから会場への移動の際も振り向かない人がいないくらい注目されたり、車の中からも写真を撮る人が大勢いて、驚くと共に嬉しかったです(Ciel)」
「言葉でのコミュニケーションは取れなくても、写真撮影やステージでお客さまとの一体感やパワーを感じた時に、私たちの表現するKAWAIIを求めてくれる感性は国を超えるんだなと。なので、もっといろんな国の人たちに会って、自分たちをもっと伝えたいという思いが今は強くなっていて、それには何をすればいいのか? というのを凄く考えるようになりました(Catherine)」という回答が返ってきた。ちなみに、この「ジェッダ・シーズン」は、サウジアラビアの国家戦略構想「サウジ・シーズンズ」の一環として開催されているイベントだ。日本の経済産業省もエンターテインメント分野における協力をサウジアラビアと推進中なので、今回のキャスティングは国によるジャパンコンテンツとしての抜擢かと思いきや、オファーはまったく違ったところからやってきたという。なんと、彼女たちのオフィシャルTikTokチャンネルにサウジアラビアのイベント会社からDMで出演依頼が来たというのだ。時代を反映したオファーといえばそうだが、世界はSNSでつながっていることを痛感する事例でもある。
「ジェッダ・シーズン2022」でのライブパフォーマンスでは、「東京2020パラリンピック」の閉会式で、旗手入場曲「TOKYO AGITOS」も作曲を手掛けたRAMRIDERとも共演。日本を代表するエンタメ力のコラボレーションで、アラブの夜を魅了した
カラフルな東京が会いに行く!
元々、「KAWAII MONSTER CAFE」のリアル店舗があった時代は、“TOKYOの新名所、カラフルでKAWAIIを体験できる場所”というテーマがあった。しかし、店舗がなくなり、コンセプトとしての「KAWAII MONSTER CAFE」として活動する今は、“カラフルな東京が会いに行く”にテーマが変わった。読んで字のごとく、「ジェッダ・シーズン2022」のようなイベントをはじめとする国内外のメディアからのオファーや、銀座の「PLUSTOKYO」で展開した“スナック KAWAII MONSTER”など、さまざまな企画に対応している。2019年に行われた「VOGUEJAPAN20周年パーティ」では、ミラノの「ブルガリホテル」が「KAWAII MONSTER CAFE」の店内デザインにインスパイアされたセットに模され、ドレスコード”kawaii”にフィーチャーされたファッションに身を包んだゲストたちをMONSTER GIRLが出迎えた。このような会場の世界観すべての演出も含め、今後、大きな再開が見込まれるカウントダウンパーティや結婚式などのオファーも積極的に受けていきたいといい、2025年に開催予定の大阪万博でも、”KAWAIIカルチャー”の発信を何かの形で実現したいと考えているという。
本誌既出のキュレーター・米原康正氏が語ったように、これからのエンタメはSNSによる経済圏を持っているコンテンツが勝つというセオリーに照らせば、彼女たちは世界の”KAWAIIカルチャー”コミュニティにおいて大きな経済圏を持っている。これはインバウンド再開に向け、彼女たちと組むことでニーズに適った魅力開発ができるだけでなく、明確なニーズを持つ市場に訴求ができることを示している。さらに、彼女たちが文化財や壮大な自然との組み合わせにも負けない個性を持つアイコンであることから、観光魅力にニューツーリズムの創生が求められる現在(ルビ:いま)、ファンベース付きで差別化を図れるコンテンツとして、「KAWAII MONSTER CAFE」と組む価値は実に大きい。世界は“日本のKAWAII”を求めている。サブカルをテーマに、魅力開発におけるブレイクスルーコンテンツを模索する事業者はぜひ、「KAWAII MONSTER CAFE」、そしてMONSTER Xにアクセスしてもらいたい。
https://asobisystem.com/brand/kawaiimonstercafe/
https://www.tiktok.com/@kawaiimonstercafe
担当:毛利愼 mohri@ohtapub.co.jp