事業領域・規模の急成長を実現
----以前私が御社のインタビューをさせていただいたのは 2015年の現副会長であるチャニン・ドナバニック氏の時でした。当時は 23軒のホテルとデュシタニ・カレッジを運営しているというお話を聞いたのを覚えていますが、それから約7年半の間にデュシット・インターナショナルが事業規模、領域共に大きく成長していることに驚いています。
現在、デュシット・インターナショナルは 5つの事業を展開しています。まずは「HOTELS, RESORTS AND LUXURYVILLAS事業」として現在 16カ国に300軒以上のホテルやリゾート、ラグジュアリーヴィラを展開しています。
2つ目は「Dusit Hospitality Education(デュシット・ホスピタリテイー・エデュケーション)」で、タイのバンコクとパタヤに「デュシタニ・カレッジ」を、同じくバンコク内に「ル・コルドン・ブルー・デュシットカリナリースクール」、「The Food School」を運営しています。 さらに、現在建設を進めているデュシット・セントラル・パークをはじめとした約 500億バーツ(約 2,000億円)の複数の不動産開発事業。続いて私たちの食に関するノウハウを集結させ、ホテルの品質の向上と標準化を行なうほか、ケータリングやレストラン事業を展開する「Dusit Foods(デュシット・フーズ)」。そして「HOSPITALITY-RELATED SERVICES(ホスピタリティー関連サービス)」としてプロパティ管理事業やスパ事業、ホテル運営のノウハウを生かした高級ケータリングからホテル開業支援まで幅広いサービスを手掛けています。また、REIT事業も手掛けています。
私たちの強みはこれら事業が単体として活動をするのではなく、グループ内の関連する事業の総合力で各事業のすべてのステークホルダーの皆さまに高い価値をお届けできることです。
----デュシットのコアであるホスピタリティーを軸に、さまざまな領域への事業展開を実現されています。この背景にはどのような狙いがあったのでしょうか?
まずは私の経歴について最初にお話をさせていただければと思います。私の従来のキャリアはホスピタリティー業界ではなくIBMというテクノロジー関連企業でした。IBMではタイのマネージング・ディレクターや ASEAN担当副社長、米国本社を経てグローバルテクノロジーサービスの担当副社長などを経験し、その後タイの通信衛星企業であるタイコムのCEOを務め、デュシット・インターナショナルに参画をしました。
これまでのデュシット・インターナショナルの CEOは創業者のタンプイン・チャナット・ピヤウイ氏、そしてそのご子息のチャニン・ドナバニック現副会長が務めており、私は初めての外部からの CEOとなりました。外部の、さらにはホスピタリテイ―ビジネスの経験のない人材を CEOに任命する。その大きな決断の背景には、チャニン・ドナバニック副会長の「デュシット・インターナショナルをさらに力強く成長をさせたい」という明確なビジョンと強い想いがあったからです。
チャニン・ドナバニック副会長が次のCEOを誰にしようかと考えた時、力強い成長を実現させるためにはこれまでの実績に頼るだけではない“Disruption(創造的破壊)”が必要だと考えていました。ホスピタリティー事業の視点だけではない、さまざまな視点から見ることができる人材。そこで、出会いがあったのです。