有機的に動く組織の中で役割分担しながらチームとして成果を導き出せる形にしたい
----人材の採用について、どのように考えていますか。
ホテルは装置産業であるとよく言われますが、それはあくまでもオーナー側の見方であり、私たち運営側からするとやはり「人」なんですね。「企業は人なり」と言いますが、「ホテルも人なり」だと私は思っています。
人材開発は非常に重要なテーマですが、アメリカ式の運営を手本とする日本のホテルの多くは職務給をベースにした採用、人事管理を行なっています。そのため宿泊に配属されたらずっと宿泊の仕事、料飲に配属されたらずっと料飲の仕事といった組織制度が根強く、会社全体を俯瞰することのできるゼネラルな視点を持ったマネージメント人材が育成されにくい環境にあると言えます。
そこで私たちはマルチタスクを採り入れ、宿泊と料飲のセクショナリズムを取り払うことで、ホテルの運営全般を担っていく人材づくりを推進しようとしています。
またオリックス・ホテルマネジメントの制度としては、「トライキャリア」という制度を設けて、就きたい職種や異動したい施設を自己申告できる形を構築しています。この制度を活用することで、幅広い視点に立って自分自身の可能性を試しながら、幹部として育っていってもらう道筋を強化していきたいと考えています。
採用に関して厳しい状況が続いているのは確かですが、そんな中でも17年の歴史を培ってきたポートでは子どものころに宿泊して、素晴らしい接客体験をしたことで「大人になったら自分もこのホテルで働きたいと思って応募しました」という学生が新卒で入ってきてくれています。
これは究極の採用活動だと思っていて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのオフィシャルホテルという特性から言っても今のお客さまが将来スタッフとして働いてくれる可能性を考慮しながら、日々の接客に取り組んでいく重要性を感じています。
----これからどのような総支配人像を目指していきたいですか。
私たちのホテルはしっかりと組織化されていて、各部門に優秀なマネージャーがいます。総支配人が日常業務の端々にまでも介入しなくても有機的に動くことのできる組織の中で役割分担しながら、チームとしてよりよい成果を導き出せるようにしていきたいと考えています。
ホテルユニバーサルポート、ヴィータは客室数が多く、しかも2棟で構成されているため、現場で起こっていることのすべてを総支配人がチェックして修正行動を促すやり方は現実的ではありません。そうしたマネージメントスタイルを成立させることはできませんし、私自身もそれを望んではいません。
有力なタレントが抜けてしまったら一気に組織が崩れてしまうようなホテルであってはなりません。キャスティングが替わっても変わることのない品質を恒久的に提供していけるホテルづくりを、総支配人として追求していきたいと思っているのです。その実現のためには、さまざまな場面で権限委譲を積極的に行うことが求められると考えています。その姿勢で取り組むことのできる総支配人が、私にとっての理想像と言えます。
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