2022年4月以降はコロナ感染拡大でもキャンセルが多くは見られなくなった
----新型コロナウイルスの状況がピークだった時期に、どのように取り組みを進めましたか。
コロナ禍はとても苦しく、2020年から2021年の中盤あたりまでは両館をクローズしたり、片館をクローズしたりといった状態が続きました。その時期であっても来館してくださるお客さまはいらっしゃいましたので、私たちはグループ全体で安全・安心な宿泊体験を提供するための「クレンリネスポリシー」を独自に定めました。
時期を同じくして、グループとしてサステナビリティへの取り組みを強化しました。ワンウェイプラスチック製品の削減、フードロス低減などの環境配慮をはじめ、地域の皆さまと連携しながら地域共創にもチャレンジしています。
また、内部的には雇用調整助成金の教育訓練加算金を活用して、出勤できない時期は自宅で行なう英会話やホテルビジネス検定の勉強を通じて、ホテルとのつながりに対するスタッフの意識が途切れないように、苦慮しながらも人材管理の面で取り組みをなんとか続けてきました。
状況がはっきりと好転し始めたのは2022年 4月以降で、感染が拡大しても以前ほどの数のキャンセルは見られなくなりました。7月からは稼働率も堅調に推移するようになり、8月の夏休みシーズンは 2019年と変わらないレベルの稼働率に戻ってきました。
----インバウンドの状況はいかがでしょうか。
2022年 10月に入国規制が緩和された時点で、22年内の予約は国内のお客さまでほぼ埋まっていました。さらに全国旅行支援の後押しもありましたので、22年 12月までの期間はインバウンドのお客さまを受け入れる余地が残っていませんでした。
戻ってきたインバウンドの恩恵を本格的に受けられるのは 23年の春節以降と考えています。実際に海外からの団体の問い合わせは増えてきていて、韓国からは修学旅行に関するご相談も受けています。
2023年度はインバウンドの需要が本格的に回復するという“シナリオ”をもって予算を組んでいますので、この“シナリオ”が実現することを願っています。
----レストランの喫食率や売店の利用率は、コロナによってどのように変化しましたか。
コロナ以降、現在に至るまでレストランの席の間隔はしっかりと確保し続けています。そのためどうしても受け入れられる人数に限りがあり、コロナ以前の喫食率に戻すことはできていないのが現状です。
私たちのホテルはもともとブッフェに強みがあり、一時期は朝食に約 90品目をラインアップしていたほどです。そこからコロナ禍によって1品ずつ小鉢で提供しなければならなくなり、大きな鍋から料理を取っていただくスタイルでのプレゼンテーションは難しくなっていきました。昔ながらの物量で圧倒するというブッフェのダイナミズムを発揮する方向性は、当面難しいのではないでしょうか。
これからはメリハリを付けながら、要所要所でお客さまが気になるアイコン的なメニューをメイン料理やデザートごとに設置するスタイルに切り替えていく必要があると考えています。