客層が全く異なるからこそ棲み分け、共存できる
----リゾナーレの都市部での開業、さらにコラボレーションホテルという運営方式を採用し、初めて尽くしの挑戦になります。「ハイアットリージェンシー 大阪」は、2016年に星野リゾート・リート投資法人が取得されていますが、経営は株式会社ホライズン・ホテルズが継続されています。どのような戦略で今回の開業に至ったのでしょうか。
これまで、星野リゾートが「ハイアットリージェンシー大阪」の運営に助言をしたことはありません。ただ、「ハイアットリージェンシー大阪」は全 480室と大型で、市場のニーズが変化する中で全室を稼働させるには、もっと幅広いターゲットにアプローチする滞在が必要ではという話が浮上したのです。
そこから、「リゾナーレ」のターゲットであるファミリー層なら、「ハイアットリージェンシー大阪」のターゲットであるラグジュアリーを求める層とは全く異なり、うまく棲み分けができるのではというアイデアが生まれました。2ホテルが共存できれば、相互作用で稼働を上げていく、新しい可能性が拓けるのではないかと…。その展望を「ハイアットリージェンシー 大阪」に真摯にお伝えし、最終的に宿泊・料飲サービスをお任せする形で合意に至りました。
----「リゾナーレ大阪」の概要と改装内容について教えてください。
開業時点の客室数は 48室で、最終的な運営を目指す客室数は 64室です。改装内容としては、最上階 28階にあった 3つの宴会場を、子ども達が、様々なマテリアルや色彩、光と出会い、「創造力を遊びこむ」ための 469m2の広大なアトリエに変えたことが最も大きいですね。また、23階の 24室は、窓や壁に色鉛筆で自由にお絵描きできる、土足禁止の客室に刷新。24階の 24室は改装はしていませんが、土足禁止にし、お絵描きイーゼルやアメニティを配置することで、「リゾナーレ大阪」の世界観を体現しました。ただこちらは開業後、定期的に顧客満足度を確認し、さらにブラッシュアップしていきたいと考えています。
----客室単価については、「ハイアットリージェンシー大阪」の価格基準もあると思いますが、どのように設定されたのですか。
「ハイアットリージェンシー大阪」の価格というよりも、「リゾナーレ」ブランドと、星野リゾートのリピーターの方々の期待にお応えできる価格を一番に考えました。具体的には、1泊 2日の「アトリエ滞在料金」として、0歳は無料。1〜 12歳以下 のお子様 1名あたり15,000円(税込)に設定させていただいています。客室は 1室単価で 18,000円〜。ご家族 3名なら合計 33,000円〜と、比較的ご利用いただきやすい価格になっています。
----今回、滞在の主軸を乳幼児教育とした理由とは。
「ハイアットリージェンシー大阪」とのコラボレーションを考えた時、まず、こちらの施設の強みを考えました。すると、多彩なレストラン、屋外・屋内プール、駐車場 330台完備、しかも床面積が 80,000m2と、もう、強みしかないのです。
これを市場に当てはめて考えてみると、メインターゲットは乳幼児連れのご家族ではないかと。なぜなら、乳幼児連れのご家族のご旅行は、約75%が自家用車でというデータがあるのです。しかも梅田から約30分、車でもアクセスしやすい好立地ですからなおさらではと。
次に、「そのご家族に何を届けたらいいのか」を考えると、ほかの「リゾナーレ」は大自然があって、そこから食やアクティビティにつなげていくスタイルをとっています。
ですが今回は都心のため、「自然に負けない体験やサービスは何だろう」と考えた時に、ご家庭で取り組むにはハードルが高いけれど、実はトライしたかった体験はなんだろうと…。そこから、芸術分野ならば、自然にも負けない魅力になるのではという考えにいたり、「レッジョ・エミリア・アプローチ」というゴールにたどり着きました。