小滝毅氏(左)と髙島司氏は、エレベーターを降りた瞬間、部屋のドアを開けた瞬間の第一印象に特に気を配る。そのためニオイ問題の解決は、最重要課題の一つと言える
工事中のフロアで試したところ
わずかな時間で薬品のニオイが解消
最悪の事態を回避するためにも、宿泊部のスタッフたちはタバコのニオイを解決する手段を模索し続けていた。そんなとき住友化学から提案を受けたアイテムが、「消して」+「香る」のコンセプトによってホテルのニオイ問題の解決につなげる「airnote」だった。
2015 年2月から打ち合わせが始まり、3月からサンプルを試用することになった。実際に客室で試す前に、まずは「airnote」をバックヤードの事務所に設置。スタッフがその効果を体験し、意見交換を行なうところからスタートしたのである。「ホテルの空間は無臭という固定概念が根強く、当初は『airnote』のコンセプトにおける『香る』の部分について、スタッフからの賛同を得るのが難しい面もありました」と小滝氏は振り返る。
その固定概念を破り、導入に至る筋道をつける契機となった出来事がある。「airnote」の検討を始めた当時、東京ドームホテルではあるフロアで改修工事を行なっていた。工事中はどうしてもシンナーのような薬品のニオイがフロア全体に漂ってしまうため、その対応策に頭を悩ませているところだった。
「airnote」をこのフロアで試してみたらどうだろう? そう考えた宿泊部は工事中のフロアの廊下の真ん中に、「airnote」の試供品を設置してみた。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの3段階で調節できる香りのパワーを最大のⅢに設定したところ、わずか数時間で廊下のニオイが消え、自然な香りが立ち込めた。空間のクオリティーの劇的な変化を実感できたこのエピソードが、「airnote」を実際の客室で試用するに至る最大の要因となったのである。エクセレンシィフロアの2 部屋に「airnote」を試験導入。お客さまからネガティブなご意見が聞かれないことを確かめてから、設置する客室の数を次第に増やしていった。
現場のスタッフからは、エクセレンシィフロア以外にある一般の客室についても、「airnote」の導入を求める声が出始めている。エクセレンシィフロアに「airnote」を設置した効果は、客室清掃のオペレーションを効率化するとともに、顧客満足の向上に間違いなくつながっている