開業15 周年を迎えた東京ドームホテルは、トリップアドバイザーのエクセレンス認証で殿堂入りを果たした。国内外から訪れるさまざまな属性のお客さまから、サービスの価値を高く評価され続けた結果だ
ホテルにとっての永遠の課題の一つとして常に挙げられるのが、「ニオイ問題の解決」である。大切なお客さまに提供する空間から、タバコ、香水、香辛料など多種多様なニオイをいかに消していくかは、多くのホテルマンにとっての悩みどころだ。その悩みを解決してくれるアイテム「airnote(エアノート)」は、住友化学とHOTERES のコラボレーションによって開発された。「消して」+「香る」という新発想のコンセプトを持つ「airnote」の導入によって、ワンランク上の快適空間を実現する宿泊施設は着実に増えてきている。シーズン5・パート1では、東京ドームホテルの事例をご紹介する。
90%超の高稼働率の中でオペレーション。
客室のタバコのニオイ解決に追われる
2015 年6月1日に開業15 周年を迎えた東京ドームホテルは、15 周年記念をうたった特別プランをウエディングやレストランなどを通じて各種展開している。全館共通の基本的なスタンスとして掲げているのは、「安全・安心」の提供だ。国内外から訪れるすべてのお客さまが安全に使うことのできる施設サービスをハード・ソフトの両面において充実させることで、安心して利用できる環境を整えているのである。そうした環境づくりを目指す上で、宿泊においては客室のニオイを取り巻く問題解決が大きなテーマとして在り続けていた。現場のスタッフを悩ませるニオイの原因は、タバコ、香水、食品などさまざまにある。中でも特に難しいのが、客室にこもったタバコのニオイだ。
全33 フロア、1006 室の客室を有する東京ドームホテルは、開業当初3フロアしか禁煙フロアを用意していなかった。客室数で言えば10%程度に過ぎない。その後、時代のニーズに合わせる形で禁煙フロアを増やしていき、今では約45%にあたる約450 室が禁煙ルームとして稼働している。ただ、いくら時代が変わってきたとはいえ、喫煙できる客室を望むお客さまも数多くいらっしゃる。2014 年の年間平均稼働率は90%を超え、2015 年も90%以上の高稼働率で推移している東京ドームホテルでは、約55%ある禁煙ルーム以外の客室を、禁煙・喫煙の両方のお客さまに提供する形でオペレーションしていく必要がある。愛煙家のお客さまが宿泊した後には、開業時から使用しているオゾン脱臭機や、4、5年ほど前に導入した弱酸性の次亜塩素酸水の噴霧器を駆使しながら、空間に残っているタバコのニオイを消す作業に追われることになる。いくら予約の時点で禁煙ルームではないことをお伝えしたとしても、タバコを吸わないお客さまが客室のドアを開けた瞬間にニオイを感じてしまえば、ルームチェンジの要望につながる可能性は発生してしまうのだ。
「私は2014 年までフロント業務を担当していたため、ルームチェンジに関するお客さまのご要望をダイレクトに耳にしていました」と宿泊部客室サービス課課長の小滝毅氏は言う。「特に部屋番号を指定される顧客の方々も含めてリピーターのお客さまが多くご利用される39 階・40 階・41階のエクセレンシィフロアの全50 室については、一件のルームチェンジが現場のオペレーションに致命傷とも言えるほどの重い負担をもたらしかねません」