修学旅行生から“将来、ホテリエになりたい”の声
----仕事目的のビジネスホテルと異なり、全てのお客様がベルナティオを目的地として訪れるため、いかにお客さまファーストになれるかが大切なことですね。
佐野 ファンづくりという点では “ひと手間を惜しまない ”ということも大切です。コロナ禍で、多くの学校が修学旅行を中止したり、県外から県内に方面変更されたりなど、子どもたちにとってはとても切ない経験を強いられました。本来は東京ディズニーランドが修学旅行先だったのが方面変更でベルナティオにお越しになり、がっかり肩を落とされて訪れる子どもたちも少なくありません。そんな中、帰られたあとに生徒のお母さまからお電話をいただいたのです。“何かクレームかな? ”とドキドキしたのですが、感動のお電話でした。
----どのようなお電話だったのでしょうか
佐野 それは帰宅した娘から “将来はホテリエになりたい ”と報告を受けたというのです。あんなに嫌がっていた県内の修学旅行だったのに、修学旅行生を受け入れる演出に感動されたとのことでした。ベルナティオでは修学旅行生をお出迎え、お見送りする際はスタッフ 30名以上で対応し、夕食後には専属のソプラノ歌手からその学校の校歌をプレゼント、また幹事の先生から内緒でいただいた生徒の写真をもとにプロジェクションマッピングをサプライズ演出。他にも食事の際のランチョンマットや箸袋、ペットボトルも学校オリジナルで作成、勿論生徒の皆さんに提供する料理も大人目線で今まで味わったことのないホテルの料理を提供します。
ひと手間を惜しまないおもてなしにより、多くの生徒から感謝のお手紙が届きます。そのお手紙に対して私たちは学校に向けたお礼状1通に終わることなく、手書きで生徒さんお一人お一人に感謝の言葉を返しています。ひと手間がかかることですが、このひと手間がファンづくり、そして将来、ホテルで働きたいという人財を生み出すことを、修学旅行を通して実感しました。
----手書きでそれぞれに感謝状を返信すること、多忙な中、なかなかできることではありません。お客さまとの関係構築、常に寄り添うことの大切さを、私自らの実践を通してスタッフに理解してもらうことが、経営理念である「人を活かし、お客さまに感動をお届けし、地域とともに発展する」ことに通じるのだと思います。最後にこれからの経営において目指すべきことをお聞かせください。
佐野 私は「年輪経営」を目指しています。そのためにも常に ESを高め、仕組みと意識の両輪を回転させながら成長していきたいと思います。そして常にリーダーとして記憶に残るワードをアウトプットとし、経営者が学びたい施設であり続けたいと思います。またこの先の構想として、敷地内に新棟も建築し、地域の雇用促進とスタッフの活躍の場を広げていきたいと考えております。ベルナティオの全スタッフ、地域、パートナー企業のみなさまと共同で取り組み、ホテル業界を活性化させる人財を排出できる存在になりたいと思います。