皆で作り上げているという認識とその認識に対する行動を
----自分たちがこうありたいと願う姿を2030に向けた VISIONとして掲げられることで、必然的にモチベーションは上げることができます。
佐野 大切なことは社内スタッフそしてお客さまともに、関係性を高めていくために、カタチではなく行動を起こすための根の部分、心の部分をどう整えていけるかということです。関係性を構築していくためには “心から寄り添う ”気持ちがなければできません。社内的には部門の壁を越えて、どう寄り添うことができるのか。多忙な部署があれば見て見ぬふりをせず歩み寄り、自身ができることをやる。
そのためにはホテルは一部署で成り立っているわけではなく、ゴルフ場や敷地の花壇を管理していただいているフィールドのスタッフや、食材などを搬入してくれる方、そしてその食材を作られている生産者の方、さまざまな方が関わりホテルとしてお客さまにお食事や施設、サービスを提供することができるのです。 だからこそ、“いつもありがとうとう ”という気持ちで寄り添うことが大切なのです。ホテル業界は、皆で作り上げているんだという認識とその認識に対する行動、それが歩み寄る、寄り添うということなのです。
----宿泊産業は、まだまだ部門間の縦割り組織でそれぞれに壁があったり、パートナー企業を下に見たり、専門学校からの実習生や新入社員を大切に育成する文化がおざなりになっているシーンを良く見かけます。
佐野 新入社員は将来をになう宝物であり、そのために大切に育てていかなければなりません。かつてのようにホテル志望者が多いときは、入社後、すぐに辞めてしまう社員に対して “今どきの子は! ”ということでしたでしょうが、今は無尽蔵ではありません。社会人として右も左も分からないまま入社するわけですから、ホテリエとしての基礎を一年かけて教えるために、入社後1年間は総支配人室に配属させています。
総支配人室に所属することで、日々教わった業務や反省点などをレポートに記し、総支配人室で育成した2年目先輩社員がアドバイスを記載する。愛情をかけて育成したスタッフは、後輩に同様の行動をしてくれます。いわゆる愛情のスパイラルです。
まずはホテリエとして何をすべきか、ベルナティオとして求めている人財像は何かと説いていきます。スキルや “メソッド(手法)”ではなく、ホテリエとしての “あり方 ”です。日々の業務が “作業 ”にならないように、一つ一つの仕事に対して “意味 ”や “意義 ”を丁寧に説明しています。そうすることで “腹落ち ”させることが大切なのです。