“腹落ちさせること”を重視した社員教育に徹す
----確かに、流れているようにおける業務にも、その先に意味があります。業務の先にも直接的には見えませんが、お客さまやスタッフの感動があります。見えない感動を伝えることにより業務が価値あるものに変化します。
佐野 ベルナティオではとにかく腹落ちさせることを、育成において重視しています。何度繰り返しても業務を教えているだけでは単なる作業としてとらえます。そうではなく、その先に何があるのか、ということをきちんと伝えることが大切です。簡単なことではありませんが、腹落ちに向き合うことを繰り返すことで、モチベーションが向上し、仕事への理解度が変わります。そしてそのような姿勢が継続できれば、理想的なボトムアップの組織へと変わっていくのです。
----繰り返し教えていくためには根気が必要ですが、そうしなければいつまでもその先のお客さまを考えられる行動は起こせませんね。
佐野 あるとき、ご宿泊されたお客さまからクレームをいただきました。それは館内の大浴場での出来事です。毎朝 10時にクローズするのですが、お客さまが駆け付けたのはその 10分前でした。すでにお風呂を清掃するスタッフが入口で構えていたのです。確かに業務的には朝 10時にクローズですので準備をしていたのですが、お客さまからすれば 10時までに入ればいいという意識です。気持ちよくどうぞ、と声をかけられれば良かったのですが、自分都合に走ってしまったことに対するクレームだったのです。
----どのような解決策を見いだされたのでしょうか。
佐野 そこでベルナティオでは「グレーゾーン」を設定し、営業時間前、終了間際の微妙な時間帯でもお越しいただいた方を心地よく受け入れる枠組みを設けることにしました。お客様がホテルステイを快適にお楽しみいただき、その先の顧客、更にはサポーターにつなげていくことが、ファンづくりに欠かせないことなのです。顧客に真摯に向き合うという観点からQC委員会を設定し、お客さまの声に対して真摯に向き合い、改善すべき点はすぐに取り組み、ホームページ上でお客様の声をもとに改善した内容を毎月配信すると共に、ご意見をいただいた全てのお客さまに回答するようにしております。