新入社員を含めた若手スタッフの声を反映させた「あてまVISION2030」
----先日、バッグヤードをご案内いただき、本当にスタッフの皆様がにこやかに、生き生きとした表情でした。まだ随所に目標や 10年後目指すことなどがオープンに表示されています。まず、なぜバッグヤードに注目されたのか、お聞かせください。
佐野 ホテルの表舞台であるハードは時代が求めている風貌に変化しています。ところが一歩、バッグヤードに踏み込むとそこには華やかさと相反する姿が残存しています。ステージに立つ前の鏡の前できれいなユニフォームで身なりを整えても、そこにお客さま、そしてスタッフに対する尊敬がなければ、お客さまの心を動かす感動を得ることができないのです。
とはいえ、実際私も同様の悩みを抱えていた時期がありました。どんなにハードを整えても、社員の「心」が整っていなければ、お客さまに感動をお届けすることができず、思ったような成果が上がらないことが多くありました。経験上、このような悩みの源泉は、“バックヤード ”に答えが隠されていることが多くあると感じたのです。そこでまずはバックヤードという概念を取り払い、表も裏もない運営を実現するためには何をすべきか、考えたどり着いたのが「あてまVISION2030」といえます。
----「あてまVISION2030」とは具体的にどのようなことですか。
佐野 10年後、自分たちはどうあるべきか、あてまが大切にして来た経営理念に加え、十ヶ条の行動指針を立てたのです。経営理念は「人を活かし、お客さまに感動をお届けし、地域とともに発展する」この理念を実現させていくために、そして「あらゆる行動の『前提』」「目指すべき『人財像』とは」、「わたしたちが『お客さま』へお届けしたいもの」「『地域』『パートナー』『自然』と一体になるには」という4つの柱を立て、それぞれに具体的に何をすべきかを提示したのです。具体的には「意見を言える、意見を受け止められる」「すべてを『我がコト』として捉える人」「すべてのものに意味・ストーリーを込め、ひと手間を惜しまない」「地域を学ぶ、地域を愛する、地域を誇る」などを掲げています。
そして 2030年のありたい姿として個人は「お互いに尊重尊敬し高めあい、学び続け、成長し続けることで「選ばれる人」になること、組織としては「地域の皆さま、パートナー企業の皆さま、スタッフの皆が一体となって、日本一のチームワークを発揮し、CS・働き続けたい企業ともに日本一になることと掲げました。2030年のあるべき姿は我々経営層が考案したものではなく、この先 10年後のあてまを担う新入社員や若手スタッフを中心にどうありたいか、どうすべきかを議論し、ボトムアップで作りあげたビジョンなのです。