3. ブッフェの利益性
レストランのブッフェ、宴会の立食パーティーなどは調理とFBC にとってその原価の管理のし方が難しく、明確な答えはなかなか出せません。
客数が満たないときのブッフェ料理はそのままロスとなり、食材原価を圧迫しますし、少人数の立食パーティーはコスト高になります。
ブッフェの場合、いわゆる通常の標準原価という考え方ではとらえきれず、実際原価もこれがブッフェの原価というように出すことが難しいというのが現実です。
ただしブッフェの利益性という観点からすると、ブッフェ形式にすることによる本来の利益・効率性を考えた場合、食材原価はもちろんのこと調理・料飲の労務費も含めて客数が100 人を超えないとそのメリットを十分に生かせないと考えられます。
ブッフェは標準的に冷製料理6 ~ 7 品目、温製料理7~ 8 品目、デザート2 ~ 3 品目をそろえないとブッフェの体裁が整わず、少人数しか見込めないからと言って品目数を減らしたり、少量多品種にすると見栄えと器材の問題も出てきます。
従って宴会などの場合は利益を確保する手段として、受注する際に人数・規模により料理単価の下限料金を変えて行くことも考えられます。
FBC データの活用と展開
製造原価 ― 間接労務費の配賦
製品の原価というのは、どんな製品でも材料費、労務費、経費の3 つの要素で構成されますが、ホテルの損益計算書でもその原価要素として売上原価、人件費の他、業務委託費、水道光熱費などの経費に分けて計上されています。
売上原価は主に材料費であり、特定の商品のために消費したことが直接認識できる費用ですが、人件費はその商品もしくは当該部門売上に対する直接労務費と間接労務費が合算されて表わされます。
それではこの間接労務費は部門間でどのように配賦された結果なのでしょうか…(第6 回へ続く)。
望月良雄
EL.F&B コントロールオフィスYoshio Mochizuki
89 年㈱ロイヤルパークホテル入社。開業時よりF&B コントロール課に勤務。20 年以上に渡りFB コントロール業務に従事し、業界で初めての購買とFB コントロールの一体化したシステムの開発に携わる。元㈱ロイヤルパークホテル取締役総務部長。現在はFBC に関わるコンサルティング業務を中心に活動する。