ペニンシュラには自発的なスタッフにオープンにチャンスを与える風土がある
----コロナ禍を経て変化している客層やお客さまの嗜好に対して、サービスのあり方を変えていますか。
コロナ禍によって、従来は約 90%が海外からのお客さまで占められていた状況から、多くが国内のお客様に変わったというのは言うまでもなく非常に大きな変化です。したがって、国内のお客様の嗜好に寄り添う必要がありました。
そのためにはビジネスマナーのトレーニングなどを通じて、国内のお客さまとの接し方をより強化していかなければなりません。お客さまとの間の空気感や距離感といったところを重視しながら、トレーニングを継続していきたいと思います。
15年前のザ・ペニンシュラ東京の開業時に比べて、オンラインチャネルから予約するお客さまが増えたことは、FBのあり方にも大きな変化がありました。以前は来館してからアラカルトで「こういう感じで食事をしたいから、それに合わせて何か作ってください」というリクエストをシェフが受けるという、クリエイティビティーが求められるスタイルが中心だったのですが、今はあらかじめ組まれたコースをご予約されるお客様が増えています。
それにより、キッチンに求められるクリエイティビティーの機会がやや減少してしまったことも変化の一つですが、おいしい料理を作るという基本的な意識はすべての料理人が持ち続けていますので、スタイルは変わっても多くのお客さまに満足していただけるメニューを提供していきます。
----これからホテル業界に入ってくる人たちに求めるスキルなどを教えてください。
専門的な職業的スキルを身に付けているスペシャリストはもちろん必要なのですが、その上でゼネラリストとして育っていける人材が特に重要になってくると考えています。ホテルに入ってからはじめの 5年間は、さまざまな部署でいろいろな仕事を経験するジャーニーこそ、人材育成のポイントとなると思っています。FB、宿泊などの部署にとらわれない様々な経験こそが、ホテリエに求められる柔軟性や適応能力が養われていくと信じているからです。
ゼネラリストとしての道を切り開く近道は、海外に出て国際感覚を身に付けることをおすすめします。ホテルは衣食住に関わる仕事がすべて詰まっている多様な可能性の宝庫です。そこでさらに多様な文化や習慣に触れることで経験と知識が増えます。そしてペニンシュラには、スタッフにオープンにチャンスを与える風土があります。「こういうことをやってみたい」という自発的な意志を持つスタッフには、多くのチャンスがあるホテルであり続けるでしょう。
----ご自身のキャリアに関する将来的なビジョンを教えてください。
久し振りに帰国したので、しばらくの間は日本にいたいと思っています。その後は海外のペニンシュラでの挑戦を続けたいと思っていますし、ゆくゆくは総支配人として仕事をしたいという希望持っています。
かつてアンバサダープログラムや海外転勤で吸収した大きなものを、できる限りペニンシュラに還元して恩返しがしたいという気持ちを強く抱いています。これからも国際的なホテリエとしてのキャリアを積んでいきたいと思います。