バックヤードの管理部門は置かず宿泊と料飲のチームだけの運営を目指す
----60室のスモールラグジュアリーホテルとして展開するホテルオークラ京都岡崎別邸は、どのようなスタッフ体制で運営するのでしょうか。
スタッフの人数については、60名規模でオペレーションしていきます。基本的にバックヤードは管理部長が 1名いるだけで管理部門は置かず、宿泊チームと調理スタッフも含む料飲チームのオペレーターが現場を担っていきます。
広報的な業務は本社と分担するほか、電話による宿泊予約はホテルオークラ京都と業務委託契約を結び、ホテル内の業務は現場運営に焦点を置いています。
FITが中心の時代となった今、60室規模のホテルで団体の予約を積極的に取っていく方針ではないこともあり、営業チームを持つ必要はほとんどないと考えています。その上で、オークラニッコーホテルズのさまざまな事業所とのクロスセルも行ないながら、販売につなげていければと思っています。
京都のマーケットにおける滞在日数を見ると、一部の例外を除いて長くても3日になっています。ホテルオークラ京都岡崎別邸はレストラン、ラウンジもそれぞれ一つしかありませんから、連泊を積極的にねらっていく方向性は難しいと見ています。その中で、ホテルオークラ京都とのパッケージでグループメリットを活かした一体型の連泊プランを考えていくことは、一つの売り方として可能性があるかもしれません。
----レストランはフランス料理の「ヌーヴェル・エポック」1本で勝負していくことになりますが、どのような点が F&Bの売りになりますか。
The Okura Tokyoのヌーヴェル・エポックの姉妹店のような形で展開していきますが、東京と京都では少し違った印象を与えられるように工夫しています。
東京のヌーヴェル・エポックはホテルの建て替えにあたって、前身のラ・ベル・エポックを革新するという判断から、新しい風を吹かせる役割を担う形で創られました。京都でも「イノベーティブ」をコンセプトの一つに掲げていますので、その面においては東京のヌーヴェル・エポックのエッセンスを入れています。
ただしまったく同じ味を提供していくわけではなく、京都の食文化や四季を意識しながら、さらに新しいヌーヴェル・エポックを感じていただける料理を志向していきます。The Okura Tokyoでヌーヴェル・エポックのスーシェフを務めていた山下亮一が当ホテルのヌーヴェル・エポックの総料理長に就任したことで、東京とは異なるさらに新しい風を吹かせてくれるでしょう。
----ヌーヴェル・エポックの顧客について、どのような層を想定していますか。
ヌーヴェル・エポックをお客さまが訪れる利用は二つに分かれると思います。「ヌーヴェル・エポックの料理を食べたいからホテルに泊まる」という理由と、「もともと別荘地であり高級住宅地である岡崎エリアの美食家が足を運ぶ」という理由です。特に食については、地元のお客さまから親しまれる地域一番店をグループとしても目指しているため、両面で展開していく必要があると考えています。
京都にいて感じるのは、「食事に行く」ことが京都を訪れる目的であった場合、宿の予約は二の次になるケースが多いということです。このレストランの予約が取れたから、その日に泊まれる宿を探そうという順番が主流になっているのです。そうした京都の特性の中で、私どもを多くの方々に選んでいただけるホテルに育てていきたいと思います。