若い世代のスタッフたちが足を使って地元のコネクションを広げる形を重視
----コンシェルジュのような案内機能を持つ専属スタッフは置いていますか。
宿泊部門のスタッフについては、すべてマルチタスクでサービス提供を行ないます。そのスタイルにおいてコンシェルジュの在り方を考えたとき、知識と経験を持っていなければ務まらないという従来の枠組みにしばられていてはお客さまのご要望にお応えすることは難しくなります。京都においても情報の回転スピードはものすごく速くなっていますし、お客さま自身が既に多くの情報を持っています。
ですから知識や経験よりも、若い世代のスタッフが自分の足を使って地元のコネクションを広げていく形を重視していきたいと思います。そして 1人のスタッフだけがその情報を知っているのではなく、綿密なコミュニケーションを通じて全スタッフが情報を共有できる仕組みを構築することで、全員がコンシェルジュとして機能できるスタイルを目指していきたいと考えています。
当ホテルのスタッフはホテルオークラ京都、ホテル日航大阪、オーナーである三菱地所が展開するロイヤルパークホテルズから集まっています。それぞれの現場で宿泊や料飲のサービス経験を持つスタッフが混ざり合うことで、より幅広い情報が入ってくることが期待されます。スタッフの平均年齢は 30代前半と若く、彼らが積極的に情報収集活動に取り組み、獲得した情報を共有することで、型にはまることなく全員がお客さまのリクエストに応えられる形を創り上げられると信じています。
全スタッフがインカムを付けてサービスにあたっているため、お客さまから聞かれたことをその場ですぐに確認し、解決していきます。待たされるストレスをお客さまに感じさせることがないように、スタッフ同士の連携を大切にしていきます。
----ホテルオークラの運営哲学「Best A.C.S.」に照らして、ホテルオークラ京都 岡崎別邸のAccommodation(施設)の優位性はどこにあると言えるでしょうか。
当ホテルはスパなどの付帯施設を持っていないため、ホテルオークラが掲げる Best A.C.S.が謳っている施設の優位性の切り口とは少し違った形でアピールする必要があるでしょう。そこで私どもは、技術的な Accommodationを訴求してみたいと思います。
たとえば照明については朝、昼、夕方、夜の四つのシーンを感じていただくため、ロビーとレストランの照明にそれぞれのシーンを演出するプログラミングを組み込んでいます。お客さまが心地よいと感じるシーンづくりをすべてシステム化しているのです。
客室には人感センサーを導入し、チェックインの段階で自動的に照明が点き、空調が作動します。スイートルームについては客室のドアを開けるとカーテンが自動的に開き、部屋に入った瞬間に庭園の景色が目に飛び込んでくるウェルカムシーンを演出しています。
そのほかタブレット端末による忘れ物管理や施設管理のシステムを充実させることで効率化を図り、スタッフが接遇に集中できる環境を整えることで、サービスをより高いレベルに引き上げていきます。また決済端末にはほぼすべての機能に対応しているため、宿泊も料飲もスマートに決済することができます。もちろん24時間の換気機能を作動させることで、衛生面での安心感も生み出しています。