フォションが掲げる「センスを磨く」を重視しながらスタッフを育成していく
----どのような人材を採用、育成していきますか。
フォションは独自のクレドを持っていて、フォションホテル京都においてもその信条や行動指針を尊重していきます。具体的には「センスを磨く」「個性を伸ばす」「いつも祝福する」などの項目がありますので、その要素に寄り添いながらスタッフの育成を進めていきます。
特に伸び伸びとスタッフを育てながら、センスを磨いてもらうことはこれからのホテルにとってとても大切な要素になると思います。みんなでディスカッションしながら、毎日お客さまと接するスタッフのレベルを高めていきます。
京都の町全体をご案内できるコンシェルジュとしての力を持つ人材はホテルの顔にもなれますから、ぜひ育てていきたいと思います。フォションホテル京都の場合、レセプションのスタッフがコンシェルジュを兼任していますが、そこで持っている京都の観光や飲食の情報を全員で共有することで、特定の個人に頼らずとも全体でお客さまを導けるような体制を整えたいです。
現在も鋭意、人材を募集しています。お客さまと会話をしながらチェックイン業務を行なう、おいしい料理を提供するといったサービスは AIにはできません。ホテル業は人材がすべてですから、コロナ禍であっても変わらずに優秀な人材の確保に向けて精一杯の取り組みを続けていく必要があります。
----総支配人としてフォションホテル京都の目標について教えてください。
いずれはトリップアドバイザーのランキングで 1位を獲得したいというのが私の考えです。パリのフォションホテルは 1868軒中で 1位になりましたが、私たちは京都にある 598軒の中で 1位になりたいのです。トリップアドバイザーのベスト10が旅館という時代が長らく続いてきた京都で、ホテルとして 1位となることには大きな価値があると思います。
お客さまのクチコミ評価の高さは一番のマーケティングパワーにつながりますから、コロナが収束してインバウンドが戻ってきたときに、トリップアドバイザー 1位を獲得しておくことは大きな指標として力を発揮すると考えています。
スタッフが指示待ちをしているようでは、トップレベルの宿泊施設になることはできません。スタッフが自分の力で物事を考え、どのようにしてお客さまに喜んでいただくのか、に答えを導き出していく必要があります。 そのためにもフォションのクレドにある「センスを磨く」を重視しながら、スタッフのレベルを引き上げることが総支配人としての私の仕事になります。
----ラグジュアリーホテルが増えていく京都のマーケットにおいて、勝ち残り戦略をどう考えますか。
京都にラグジュアリーな宿泊施設が増えている中で、フォションホテル京都もラグジュアリーカテゴリーでビジネスをさせていただいています。ラグジュアリーに限らず客室の供給が増えるとお客さまの需要も増えていくというユニークな傾向を持つのがホテル産業ですし、富裕な個人客の方がマスマーケットの回復よりも早いだろうと見ています。
そのマーケットにおいて、フォションホテル京都は「グルメ」「アーティスティック」「マダム」という三つのキーワードをベースに、グルメホテルという、京都のイメージに合致したコンセプトを訴求していくことで、オンリーワンのホテルとしての主張を続けていきたいと思います。