宿泊客の4割は 30代、40代の女性フォションラバーに受け入れられている
----2021年 3月 16日にフォションホテル京都が開業してから現在までの状況を教えてください。
フォションホテル京都の開業は、新型コロナウイルスの第 4波が来る前でした。私たちとしては、このまま収束に向かうことを願っておりましたが、その願いも叶わず、開業直後の 2021年 4月の終わりに第4波が来て、そこから 10月まではずっと緊急事態宣言下にありました。マーケットがとても冷え込んでいる時期であり、インバウンドは完全に蒸発していましたから、宿泊の需要を耕すのはとても大変でした。
ホテルの開発にあたってはインバウンドの需要ももちろん見込んでいて、ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド(LHW)にも加盟しました。ただコロナ禍に入ってから、これはもう日本人に向けたマーケティングに絞り込まざるを得ないと結論付けて、軌道修正をすることになりました。
----日本人のお客さまは、どのような層が中心になっていますか。
今のところ7割が女性のお客さまになっています。フォションホテル京都はコンセプトの中で、女性を主たるターゲットにしています。全体的に見ると京都を訪れる日本人は7割が女性であり、その内訳をさらに分析すると半分以上が50代以上の女性であることがわかります。私たちもはじめは 50代以上の女性をメインターゲットに据えていたのですが、実際に開業してみると2021年12月時点で、お客さまは 30代、40代の女性が 4割を占めています。京都に宿泊する女性の年代に、広がりが出てきているように感じます。
コロナの影響でまだ宿泊事業にとって厳しい状況ではありますが、フォションというブランドを愛する方々に受け入れていただけている手応えは感じています。 F&Bについて見てみると、ディナーは宿泊客の 3割がご利用してくださっていて、そこにローカルのお客さまのご利用が加わる形になっています。ランチとアフタヌーンティーはローカルのお客さまが中心ですが、京都に限らず近畿圏の広い範囲から集客できています。阪急線がつながっている神戸方面から来ていただくケースも多く見られます。
----世界の美食トップブランドであるフォションの世界観を表現しながらホテルを運営していくために、どのようなポイントが挙げられますか。
ポイントは三つあります。おいしいものをしっかりと提供できる「1:グルメ」、芸術的センスを感じさせる「2:アーティスティック」、女性に向けた発信をしていく「3:マダム」がキーワードとなります。これら三つのポイントによって、フォションのブランドイメージをホテルからも打ち出していくことができると考えています。
グルメについては、フランスの味をそのままお届けすることを基本姿勢としています。代表的な菓子であるマカロンもフランスから直輸入して、日本ではまったく手を加えていません。レストランでは日本の素材、地元京都の食材を使いながらも、フランスのレシピに忠実な料理を提供しています。
アーティスティックについては、京都の侘び寂びといった方向性ではなく、ブランドカラーのフォションピンクなどを散りばめた大胆で華やかなデザインで、高い芸術性を持つ世界観をお届けする。
このようにグルメ、アーティスティックの表現に注力することで、ホテル全体がマダムのキーワードに適った雰囲気を纏うことができるのだと思います。