食と音楽の文化交流「サロン」としての役割を位置づける
----館内で J.S. バッハが流れているだけでなく、客室でも音楽を楽しめるおもてなしが特徴的です。
館内のアートもJ.S. バッハにインスパイアされたオリジナル作品が散りばめられているように音楽にもこだわっています。客室の VODには、クラシックソムリエ・田中泰氏が“癒し”をテーマに厳選した 20曲の曲集「バッハに包まれる時間」を設定しています。不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のために J.S. バッハが作曲したとされる「ゴールドベルク変奏曲」などがお楽しみいただけます。
また全客室に設置した YAHAMA「サウンドバー」とともに、館内のサロン・コンサートを客室でもライブ鑑賞できます。ホテルでの滞在がより豊かになる仕掛けの一つです。今後は、音楽と料理と飲み物をトリプリングさせたコースや曲をイメージした料理なども積極的に展開していきたいと考えており、J.S. バッハの魅力を余すところなく表現してきたいと思います。
----1階レストラン「Wald Haus」では、「Toshi Yoroizuka」のスイーツを物販されていますね。
世界的パティシエの鎧塚俊彦氏は、海外での修行の大半を欧州で過ごしていたそうです。J.S. バッハ=ドイツ由来の何かをホテルグランバッハ東京銀座のキラーコンテンツにできないかと模索していたところ、縁あって、同氏の商品を扱わせていただくことになりました。ドイツ南西部の郷土菓子「シュバルツバルザーキルシュトルテ」を現代風にスタイリッシュにした、鎧塚氏監修のオリジナルケーキ「グランバッハトルテ」(事前予約制)もご好評いただいております。
----2階のフロントロビーにはバーやグランドピアノを配したほか、オープンキッチン付きボードルームがあります。前出のサロン・コンサート含め、それぞれの活用シーンについて教えてください。
2階には、J.S. バッハの妻の名を冠したバー&ラウンジ「Magdalena(マグダレーナ)」のほか、フロント右奥のオープンキッチン付きボードルーム「Wald T.r」(着席約 20名・立食約 30名)は、小規模ながらも年末までに法人の宴席予約をいくつかいただきました。また「パーソナルウェルネスディナー」以外にも、ゆくゆくはフードやビバレッジに関するイベントを定期開催したいと考えています。
飲食を通じて、知と交流を深める場として位置づけていきたいと思っています。またグランドピアノを配したフロントロビーでは、年末よりピアノ演奏などの「サロン・コンサート」を実施しています。アペリティフやフィンガーフードをお楽しみいただいた後に約 40分間の演奏を着席でお楽しみいただける企画です。定期開催(月1回・事前予約制・有料)する予定で、ご宿泊されなくても生の演奏と食を楽しめる文化交流サロンとして機能していきたいと考えています。
----コロナ禍での開業となりましたが、どのようなホテルを目指していきますか。
先にお話ししたようにホテルグランバッハブランドは三つのレイヤーがあり、それぞれの良さを味わえる施設として成長させていきたいと思っています。そのブランディングを確立させるためにも銀座の存在は大きいと考えています。特に、さまざまなホテルが建ち並ぶ銀座 5丁目において、より具体的なターゲット層に、求められるホテルとレストランとして周知させていかなければならない。そのためにも非接触優勢ゆえのスマートサービスだけではなく、あくまでもお客さまの状態を見極めて、マニュアルにはない心の通ったサービスができる“人財”を育成していきたいと思っています。
キーコンセプトである J.S. バッハの音楽に関する知識だけでなく、立地エリアの銀座・木挽町(銀座 5丁目)には狩野派の狩野画塾があったという背景含め、ホテルグランバッハ東京銀座のサービスをより昇華させていくことで、「ホテルグランバッハ」というブランドを形成していきたいと思います。