インバウンドの再開に備えて地域が持つ観光資源のリノベーションを進めてほしい
太田 2021年の時点では、Go Toキヤンペーンの再開は2022年2月あたりになるのではないかと予測されていましたが、オミクロン株によって先送りになってしまった事情があると思います。
コロナを抑え込むことができた後という前提ですが、世界各国の方々が「いつになったら日本に行けるのか」と楽しみにしてくださっているようです。今後どのような条件が揃えば、インバウンドを受け入れられるようになるのでしょうか。
岸田 2021年 11月の終わりに、WHOからオミクロン株が「懸念すべき変異株」として報告され、それが今世界中に広がっている状況です。この新しい変異株がどのような性質を持つのかその多くは解明されていないものの、感染力についてはかなり強いことがわかってきています。さらに重症化リスクはどうなのか、ワクチンや治療薬はどれくらい効果があるのかなど、少しずつ実態はわかってきている段階です。まずはその実態の多くの部分が解明された上で、感染対策が機能していることをしっかりと確認することが、GoToキャンペーンの再開に向けた第一歩になるのだと思います。
ですから現段階で「いつから」「いつをめどに」といった、具体的な再開時期を申し上げることは難しいと思います。今は世界が協力し合いながらコロナと戦っているわけですから、さまざまな知見と専門家の努力によってオミクロン株の実態を明らかにして、できるだけ早期に GoToキャンペーンの再開に結びつけられるようにしていきたいと考えています。
Go Toキャンペーンの準備を進めるとともに、2021年の暮れに用意した経済対策の中に、現時点で観光業界の皆さまにがんばっていただくため、そして次なる飛躍に備えていただくための政策を盛り込みました。観光資源のリノベーションのために 1000億円ほど予算を組みましたので、こちらも活用していただきながら皆さまには今しばらくがんばっていただきたいと思います。
GoToキャンペーンももちろん大事ですが、インバウンドの再開に備えてそれぞれの地域が持っている観光資源のリノベーションを進めていただきたいのですと思います。未来の観光立国のためにもこれはとても重要な取り組みになると思いますので、ぜひお願いできたらと考えています。
太田 観光資源のリノベーションに関して予算が付いたことを知っている観光業界の経営者の方々は少ないかもしれませんので、私たちもしっかりと情報を伝えていきたいと思います。
岸田 私はさまざまな地方をめぐり、観光業界の方々と車座になっていろいろな話をしています。コロナ禍によって皆さまは大変なご苦労をされているわけですが、観光というものは旅行される人、受け入れる人、双方の安全が揃ってこそ成り立つものであるという大前提があります。今しばらく我慢をしていただき、将来的なV字回復につなげるためにも、 GoToキャンペーンの準備とともに、自らの観光資源のリノベーションに励んでいただくことが重要だと考えています。観光業界の皆さまにお願いしながら、時期が来たならば政府としてもしっかりと応援させていただき、観光業界を再び盛り上げていきたいと思っています。