Go Toキャンペーンの再開に際してはより幅広いプラスの影響を追求する
太田 2019年度までは日本を訪れる外国人も増えて、観光業界、ホテル業界は潤うことができました。ただ、観光立国の次のステージではインバウンドの数よりも、滞在日数の長期化や客単価の向上を重視するべきではないかと考えています。
ホテル業界では海外の富裕層をターゲットにして、欧米、中近東、南米の方々にもっと日本に来ていただくためのアピールに力を入れようとする動きも見られます。せっかく遠方から訪日していただくのであれば、やはり数週間単位で滞在してもらうためのプロモーションが求められると感じます。コロナの収束後、日本の観光立国の方向性はそのような発想で軌道修正するべきではないでしょうか。
さて、コロナ禍によって一度止まってしまった Go To キャンペーンですが、観光業、宿泊業、飲食業に携わる方々は再開を待ち望んでいます。GoToキャンペーンについてどのように考えていますか。
岸田 オミクロン株というコロナの変異株が出てきたこともあり、依然として大変厳しい局面が続いています。そして国内外で人々が大きく移動する観光は、コロナ禍によって非常に厳しい影響を受けています。それを踏まえても、まずはオミクロン株対応に万全を期すのが最優先であると考えます。ただ、人口が減少している日本にとって、インバウンドを迎え入れる観光分野の産業はまさしく国の成長の原動力になりますし、何よりも地方創生において大きな役割を果たしていくものです。日本の将来にとって観光は引き続き大切な分野であると認識していますので、観光の再起動に向けて Go Toキャンペーンの再開に大きな期待が寄せられることは十分に理解できます。
再開にあたっては、慎重に判断することを前提に、前回のGoToキャンペーンを活用していただいた経験を踏まえて、次回はより多くの方々にさらにプラスの影響を与えられる形を整える必要があると考えています。前回の Go Toキャンペーンの際には、たとえば高級旅館などを経営する事業者の方々に向けてはかなり大きなプラスの影響を与えたと思いますが、中小の事業者の方々にはなかなかその影響が及びにくかったという面も見られたようです。
あるいはもっと平日に Go Toキャンペーンを活用していただける方法があるのではないかなどさまざまな指摘がある中で、その声をしっかりと受け止めることでより効果的なキャンペーンにしていくための準備を進めます。次回の GoToキャンペーンではもっと幅広いプラスの影響を、さまざまな形でもたらしていける方策を練り上げなければなりません。
残念ながら現在はコロナ禍にあるため、GoToキャンペーンの実施にあたってはしっかりと状況を見極める必要があります。より多くの方々に活用していただけるバージョンアップした Go Toキャンペーンの準備を進めながら、再開できるタイミングを図っていくことが求められます。
日本の観光を再起動できたあかつきには、太田さんがおっしゃるように、これまでの日本の観光に、滞在日数や客単価など質の向上につながるものを付け加えてさらに内容を充実させることで、世界の人々から寄せられる日本の観光に対する期待に応えていただけることを心から願っています。
太田 自民党の中でも、日本の観光を再起動させようとする動きはありますか。
岩屋 コロナによってありとあらゆる産業界がさまざまな影響を被っていますが、最も大きなダメージを受けたのはやはり観光業界であり、最盛期に比べると概ね8割減といった状況だと聞いています。政府が打ち出したさまざまな融資や雇用調整助成金など、使えるものはすべて活用しながら、皆さまは必死に持ちこたえているのだと思います。こうした状況において、中断を余儀なくされている GoToキャンペーンを1日も早く再開してほしいという声が根強くあると感じています。
2021年の年末から 2022年の年始にかけては、多くの観光地や宿泊施設にかなり人が戻ってきたようです。この動きを次につなげていくためにも、岸田総理が言われたようにコロナの感染状況の見極めを最優先しながら、状況が許すタイミングで新しい形の Go Toキャンペーンを実施していくことで、観光立国の基盤となる観光、宿泊、サービスの各事業者をしっかりと維持していくことが重要だと考えています。
年末年始はマイカーで動く人が多かったとのことで、予約状況は新幹線が6割、航空機は7割から8割でした。そこで新しい GoToキャンペーンを考える際には、公共交通機関を利用した旅行について割引率を引き上げるといった工夫も経済活性化のために有効だと思います。
感染を抑え込みつつ、GoToキヤンペーンをできるだけ早期にぜひ再開していただきたいと、自民党としても議論を進めながら政府にお願いしているところです。