----おっしゃっている「オーナーに寄り添う」とは、具体的にどのような意味でしょうか。
沖 ホテルは運営によって価値が変わる資産、いわゆるオペレーショナルアセットです。オーナー様がそこに何を求めているのか、ホテルからの安定的な収益なのか、ホテルの運営の再構築なのか、もしくは売却を見据えた資産価値向上であるのか、オーナー様と協力してレンダーへの説明など、それらを私たちが理解し、実現できる運営をするという点です。それは運営の期間も含めフレキシブルに対応することにもつながります。金田 私たちはホテル運営とともにアセット(資産)としてのホテル運営も行なってきました。その点では、オーナー様の立場、オペレーターの立場、そしてその視点の違いも分かっています。例えば施設の修繕においても、オペレーションだけの会社であれば「壊れてしまったので直します。それによってお客さまが満足します」と言うかもしれません。しかし、私たちはその修繕によってホテルの売り上げ、利益がどのように改善をし、だからこそそれをする価値があると説明をできます。投資をするのはオーナー様ですから、オーナー様が分かりやすい視点も持ち合わせているのです。
沖 例えば、「スタッフのモチベーションを上げたい」と考えた時、確かにそれは上げた方が良いでしょう。しかし、それがオーナー様による資本支出が必要であれば、ロジカルな説明が必要です。
私たちは、単に「スタッフのモチベーションを上げたい」だけでなく、スタッフのモチベーションを上げることでホテル収益にどのような効果があるのかをロジカルに説明できる、オペレーターだけでなくオーナーの目線も持ち合わせているのです。
コロナ禍での各ホテル運営状況
----このコロナ禍でどこのホテルも苦しんでいますが、御社が運営されているホテルについてお聞きしたいと思います。ノボテル沖縄那覇の坂本総支配人は沖縄での総支配人経験も豊富にお持ちですが、現在の状況はいかがでしょうか。
坂本 やはり新型コロナウイルスの影響は大きく、現在はグループの動きはないので個人、そしてローカルマーケットに集中をしています。この現状とはいえ収益性も重視しており、雇用調整助成金を含めると直近の3 月はGOP をプラスにするところまで届いています。
3 月の稼働率は60%を超えており、これは地域の平均を上回っています。沖縄県民割プランが好評なのと、来沖者の需要がリゾートエリアに流れる中、ノボテル沖縄那覇は那覇市内唯一のインフィニティプールを有するなど施設面でリゾート感がありますのでそれが高く評価をされているのだと見ています。
一方で、新型コロナウイルスの影響でリードタイムは短く、また、これからトップシーズンは本来であればMICE 需要も多い中でそれが失われており、変化する需要を見極め、どう取りにいくかが重点項目です。
----ホテルスプリングス幕張はいかがでしょうか。
金田 幕張エリアは幕張メッセや「ZOZOPARK HONDA FOOTBALLAREA」、さらには東京ディズニーリゾートの需要に依存しています。しかし、今後を見据えるとそこだけへの依存ではいけないと考えた時、今までアプローチをしていなかった地域の方々との連携に可能性があると考えました。ホテルスプリングス幕張はリゾート感を打ち出せるハードも持ち合わせています。そこに可能性があると考えています。
立地も、商業エリアと住宅エリアの間に位置をしており、それぞれと連携をすることでこれまでホテルスプリングス幕張にお越しいただいていなかったお客さまにもリーチをできるのではないかと考えています。その一環として、地元の幕張総合高校の学生の方に、いちごのケーキの絵を描いていただき、それを当ホテルのパティシエが商品化するというプランを行ない、好評をいただきました。また、そのほか地元の三井アウトレットパーク幕張様の商品券付きプランなど、さまざまな形を模索しています。地元との連携は、非常に重要だと考えています。
ホテルスプリングス幕張
総支配人
金田 幸二 氏
(Koji Kaneta)
フジヤサンタスホテル、ルネッサンスホテル札幌を経て2004 年ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(株)入社。ロワジールホテル旭川の料飲部長の後副総支配人、08 年ロワジールホテル函館の総支配人を経て09 年ロワジールホテル旭川の総支配人 兼 北海道エリア本部長に就任。その後本社のアセットマネジメント本部長、品質管理室長を経て品質管理室長時には子会社として客室清掃会社QMネットワークサービスを立ち上げ運営責任者に就任。2020 年10 月より現職。