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毛利愼の外食エンターテインメントVol.16

コロナだからこそ攻めの気持ちを大切に!新たな柱づくりでコロナ禍を前進するとらふぐ専門店「玄品」

2021年04月14日(水)
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法善寺横丁にある「玄品 法善寺 総本店」外観。「美味で健康的な本物のおいしさを追求し、真心と安らぎに満ち溢れた空間を提供する」という経営理念のもと、とらふぐ料理専門店では日本一の店舗数を誇る
法善寺横丁にある「玄品 法善寺 総本店」外観。「美味で健康的な本物のおいしさを追求し、真心と安らぎに満ち溢れた空間を提供する」という経営理念のもと、とらふぐ料理専門店では日本一の店舗数を誇る

とらふぐ専門店「玄品」を運営する㈱関門海が新たな販路を拡大すべく、外販事業に本格参入した。しかも家庭でのふぐ消費文化がまだまだ希薄な東京都内におけるスーパーでの取り組みだというから驚きだ。どういった経緯から外販事業始動となったのか? 社長の山口氏にお話を伺うと、「もともと経営の柱が店舗のみというのはどこか弱いのではないか? という漠然とした思いがありました。
 
理想としては4本の柱を持つ経営体制を作りたいという思いもあり、1本目はもちろん店舗です。こちらはより店舗魅力を成長させ、今まで以上にお客さまにご満足いただける店舗運営に邁進していきたいと考えています。次に2本目として通販事業に参入しました。その中で、通販がある程度軌道にのってきた2019年の冬季くらいから外販事業も始めたいという気持ちが強くなっていました。もともとポン酢などのグロッサリー商品は取引きがあったのですが生鮮食品についてはゼロからのスタートでしたし、ふぐの加工卸しも初めての取り組みでしたから勇断を求められましたが、夏場のコロナ施策をしてく中で10月には本格参入の気持ちが固まり、体制作りに着手しました。自社で加工工場を持っていたことや店舗への客足が落ちたことで職人たちのシフトを変えやすかった状況もあり、直ぐに実装できたことは不幸中の幸いでした。それと並行して本部や事務所の経費削減など最悪のパターンを想定しながらでき得る限りのコストカットを行ない、コロナ収束の見通しが見えない中で一番小さくなる形を考えていました。
 
その中での新挑戦でしたし、販路も一からの開拓で正直大変ではありましたが、“前向きな取り組み”があったことは私だけでなく、会社としてもモチベーションに繋がったように感じています。都内から販売が始まった理由は関西圏では既に多くのふぐ業者さんが参入していたこともあり最初にお話が纏まったのが東京の企業だったということで、図らずもというところもあるのですが(笑)。でもこれを機に内食でふぐを食す習慣を東京の方たちにも広めていきたいと考えています。3本目は海外事業展開です。
 
現在、上海とシンガポールに出店し、今は土台作りに尽力している段階です」。ちなみに4本目の柱としては何を考えているのだろうか? 「いろいろと思案中ですが、新たな分野でも事業を展開できたらと考えています。例えば今考えているものとしてふぐのコラーゲンを使った化粧品事業ができたらいいなと考えています。実は以前、ノベルティ的に作ったことがありとても評判が良かったので、それをブラッシュアップする形で販路に乗せた展開ができればと」。今禍では他の生産者同様、多くの天然ふぐ漁の漁師たちも廃業の危機に直面した。
 
その中で同社では助成金の活用と農林水産省の「#元気いただきますプロジェクト」に参加することで可能な限り天然ふぐを購入し続けた。その尽力はコロナ禍における国産の天然ふぐを「関門海」が買い支えたと言われたほどだ。現在、同社初の女性社長となった山口氏の経営姿勢は実に軽やかで時代の変化にも敏感だ。彼女の感性が4本の柱をどのように育てていくのか? 「関門海」のこれからにぜひ注目されたい。
 

㈱関門海 代表取締役社長 山口久美子氏 「まだまだ飲食業界のコロナとの闘いは続きそうですが、その中でも攻めの姿勢は変えずに社内が明るく、活気づくように心を配ることと“お客さまを大事にすることで商品価値をあげる”ということを、社員にも同じ目線を持って仕事してもらえるように、私自身がさらに追求していかなければと考えています」
㈱関門海 代表取締役社長 山口久美子氏 「まだまだ飲食業界のコロナとの闘いは続きそうですが、その中でも攻めの姿勢は変えずに社内が明るく、活気づくように心を配ることと“お客さまを大事にすることで商品価値をあげる”ということを、社員にも同じ目線を持って仕事してもらえるように、私自身がさらに追求していかなければと考えています」

玄品ふぐ
https://www.tettiri.com/

コロナ禍で年配のお客さまや今までひとりゆえに来店しにくかったというお客さまからIHも対応の“おひとり様用のてっちり鍋”がデリバリーで非常に人気があがったという。ちなみに同店ではデリバリーの売り上げを店舗に計上することでスタッフのモチベーションに繋げている
コロナ禍で年配のお客さまや今までひとりゆえに来店しにくかったというお客さまからIHも対応の“おひとり様用のてっちり鍋”がデリバリーで非常に人気があがったという。ちなみに同店ではデリバリーの売り上げを店舗に計上することでスタッフのモチベーションに繋げている
外販ではふぐ料理の定番である“てっさ”や“てっちり”だけでなく、「玄品ふぐ」が新たなふぐの美味しさとして開発した、焼肉のような満足感と味わいのある“焼きふぐ”も販売している
外販ではふぐ料理の定番である“てっさ”や“てっちり”だけでなく、「玄品ふぐ」が新たなふぐの美味しさとして開発した、焼肉のような満足感と味わいのある“焼きふぐ”も販売している
飲食店と生産者は一蓮托生。コロナ禍での天然ふぐの買い上げだけでなく、年々漁師の減る天然とらふぐの延縄漁も守っていきたいと山口社長
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GoToEatキャンペーンでは若い世代の来店が増えた。中にはそれをきっかけにリピーターになったお客さまもあり、コロナ禍で大変なことも多かったが、いい変化もあった
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コロナ前は中国人スタッフたちがプライベートな「WeChat」で店の宣伝をして、インバウンド来店に貢献してくれた。入国制限がある現在も定期的に話題をあげて宣伝を続けてくれている
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「大衆天評」では例年、神戸牛が日本で食べたい一番の食事だった。しかしある時からふぐ人気があがり、「玄品ふぐ」が1位に!
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