海外の人々に日本酒を伝えるためにグラスマッチングチャートをフル活用
島田 海外のレストランで「日本酒の専用グラスがあるのなら、日本酒を扱ってみよう」という“グラスありき” の動きは見られますか。
アンギャル そうした動きはきっとあると思います。私たちが日本酒専用グラスを発表してグラステイスティングを開催した際、最も反応が早かったのはパリのソムリエでした。大勢が参加するワインのグラステイスティングには興味をもたないトップソムリエが、日本酒をテーマにしたら多くの方が参加してくださったのです。
日本酒を知らない海外の人たちに日本酒を伝えるときには、分かりやすいクイックオリエンテーションが求められます。そのやり方を実践するために、私たちはグラスマッチングチャートをフル活用しています。この酒がどのポジションにあるのかを見せることで、日本酒の世界を分りやすくスピードをもって伝えることができます。
島田 海外でより可能性があると思われる日本酒のタイプを教えてください。
アンギャル 世界的に最も将来性があるのは「特徴のある純米」です。大吟醸はワインとの競争で負けてしまう可能性もありますが、特徴のある純米は繊細な料理にとても合いますし、そのマーケットには競合がありません。旨味がたっぷりと味わえる飲み物として、純米は世界1位だと私は思います。ワインにはない旨味を生かしたペアリングができる特徴のある純米に、最も大きな将来性を感じます。
島田 大吟醸グラスと純米グラスの真ん中に位置付けられる、新しい日本酒専用グラスの開発は考えていますか。
アンギャル とにかく今はニつの日本酒のカテゴリーを世界中の人々に覚えてもらうことが最重要課題です。仮に新しい日本酒専用グラスを創るにしても、最低5年は掛かると思います。先のことは未定ですが、ただ、5年後には何か新しい動きをお見せできるかもしれませんね。
島田 そのときを楽しみにしています。