お客さまに向けてという大義名分を忘れて、精神論で、もっとちゃんとしてくれ、とか、若いころの教育がなっていないなど、人格形成に入ろうとしてしまっている上司も、たまにお会いする。私は、部下の人格がどうのこうのと、問題にする上司ほど、お客さまに向けて商品やサービスをこうしていきたいという視点が欠けてしまっていると感じる。相手を成長させようと取り組んでいるが、出口が不明瞭なままなのだ。
遠慮を理由にメンバーへのかかわりを避けてしまうのも、メンバーの弱点を放っておいてしまうのも、メンバーの立ち居振る舞いに必要以上に介入してしまうのも。相手に理由を求めてしまう、自分のコントロールできないところに理由を見つけてしまう点で、似たようなものである。
お客さまにこんな商品やサービスを届けたい。この大義名分をもって部下ではなく、商品やサービスを間に置いて改良点を考え、できるようにサポートしていく。A 社社長の向き合い方のシフトは、商品の品質を上げるという行為を通じて、相手の弱点を補っていくだけでなく、自分のお客さまに向かう感度も高めている。そして両者でお客さまに向かうという方向をもった相手との関係に深まりを持たせていくのだ。
2020年2月28日号 サービス・イノベーション-Part2
166 年上のメンバーに遠慮しなくなった日
【月刊HOTERES 2020年02月号】
2020年02月27日(木)