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2020年2月28日号 TOP INTERVIEW とんきゅう株式会社 代表取締役社長 矢田部 武久氏

東京進出を果たした 茨城とんかつの雄、とんQ

【月刊HOTERES 2020年02月号】
2020年02月27日(木)
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榊芳生氏と出会い、経営哲学を一新。とんQ発展の基礎も構築

――「とんかつ とんQ」は37年間の歴史の中で11店舗を展開し、そのいずれもが大人気店です。どのようにして、 ここまで成長させてきたのでしょうか。

 学生時代は自分が飲食業界に携わる とも、ましてやとんかつを一生の仕事に するとも思っていませんでした。 とんかつ店を始めたきっかけは、結婚 をしてお金が必要なので、何か商売を しようと思ったこと。最初は生活のため だったのです。
 まずは商売を始めるための土地を 買ったのですが、たまたまその土地の 近所に繁盛しているとんかつ店があった。何度か訪れるうち「もうかりそうで いいなあ」「自分でとんかつ店をやって みようか」と、選択肢の一つに考えるよ うになったのです。 そこから、とんかつの猛勉強です。 叔母が新宿で大きな肉の卸店を営んで いたので、彼女に相談したところ「本 気で勉強するなら店の内側を見なさい」 と。横浜にあるとんかつの名店を紹介 してくれ、その店の厨房に3カ月間入る ことになりました。
 しかし、こちらは包丁も持ったことのないど素人(笑)。もちろん、担当する仕 事は洗い物などの下働きです。それで も朝は誰よりも早く来て、夜も遅くまで残 り、何でも吸収する気持ちで働いてい たら、仕込みの手伝いをできることになっ て。徐々に「料理は面白いな、奥が深 い」と思うようになりました。 短い期間でしたが、最後に社長にあ いさつに行ったら「君は1年間修業し たに等しいよ」と言ってもらえました。そ れだけ必死に働いた、得難い経験でし たね。 その後は1年ほど、妻と一緒に首都 圏の有名なとんかつ屋さんを、ノートを 持ち歩いで全部記録しながら食べ歩き ました。徹底してリサーチして、ようやく 「とんかつをやろう」と決めました。


――1983年につくばに一号店がオープン。 その後は順調な道のりを? 

 そうですね、しっかりと準備をしたの が功を奏したのか、おかげさまで1号 店は繁盛。その後、わりと早く2号店、 3号店を構えることができました。 しかし、そこで慢心に陥ってしまって。 3号店を出してしばらくして現場にあまり 出なくなったら、売り上げがガタッと落ち たのです。「これではいけない」という 危機感から門をたたいたのが、榊芳生 先生が主催していたOGMコンサルティングです。榊先生との出会いで、大げさではなく、私の人生が変わりました。 それまでの私は、とんかつ店を通じて自分の成功、家族の幸せだけをめざしていたんです。

 しかしOGMでは、それ ではダメだと学びました。やはり、自分 だけでなく、従業員の幸せ、お客さま の幸せ、会社の幸せがあってこその飲 食店経営なのだと肝に銘じることができた。それに、実際、自分以外の人の 幸せのために働くのは、とてもやりがいのあることで、達成感も強いのです。 もちろん榊先生、そしてOGMの指 導を通じては、実際の店舗運営や経営 面でも非常に役立つアドバイスも多く得 ました。これが、とんQのさらなる展開 のベースとなったのです。


――OGMのロジックでの店作りを大々的に 推し進めたのは、いつですか。

 つくばに1号店を開いてから13年。 OGMに参加してから2〜3年したころ です。学んだことを最大に取り入れるべく、 1号店の建て直しを計画。入り口が分かりにくい、駐車場が狭いなど、1号店に は解決すべき課題が多くあったのです。 建て直すにあたっては敷地の拡大も 必要で、隣のアパートの用地を入手。 銀行から1億5000万円の融資を受け ました。 もちろんこんなに高額な融資に、最初 は先方も真面目に取り組んではくれませ ん。それでも粘り強く、とにかく熱心に 夢と計画を説明し続けたら、最終的に は支店長が一肌脱いでくれて。私の挑 戦を支えてくれた恩人の一人です。なおこの店では、すべてOGMの勧 め通りに厨房を設計したり、メニューを 考案したわけではありません。私にも、それまで13年間とんかつ店を営んできた誇りがあり、「言いなりにはならない!」 という負けん気もあった(笑)。ほかのとんかつ店とは違う、とんQだからこそ の価値を提供することを、何よりも大切に考えました。

 この本店は、月商2000万円を達成して、OGMに参加しているとんかつ店の 中でトップとなりました。そのとき、榊先生に色紙を書いていただいたんです。 書いてくださった言葉が、「夢と情け」。夢は人生にとって最大に大切なこ とだと私は思っていますし、それと同じくらい、従業員に情をかける、つまり彼らと同じ気持ちになって寄り添うことも大事。心に染みました。今も私の指針になっている言葉です。

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