前回は、予約からチェックイン、ロビーからフロント接遇、客室からレストラン、朝食、チェックアウトと時間軸で流れるホテル滞在体験について、シーン別での評価や印象が異なる場合について、「徐々に評価(印象)が上昇する場合」と、「徐々に評価(印象)が低下する場合」、あるいは「シーン別での評価(印象)が一定の場合」の 3パターンの滞在体験を比較し、顧客満足にそれら趨勢(すうせい)がどのような影響を与えるか、その際に、ビジネス目的あるいは観光目的いずれを目的とした宿泊体験か、また ホテルクラスについても、平均値が2スタークラスと3.5スタークラスを想定した場合に違いが見られるのかについても調べた調査結果をご紹介しました。滞在体験に対する総合的評価と加えて、顧客満足度という観点からシーン別での品質管理を考えますと、シーン別での滞在体験評価の「趨勢」が重要な要素の一つであることがうかがえました。その「趨勢」は、徐々に体験価値が上昇する場合に、印象形成上望ましいという結果でした。またその傾向は、総合評価が 2スタークラスであっても、3.5スタークラスであっても同様であり、ビジネス目的に比し、観光目的では若干ですがその傾向が強く見られるという調査結果でした。
北村剛史
Takeshi Kitamura
(株)日本ホテルアプレイザル 取締役/(株)サクラクオリティマネジメント 代表取締役/(一社)観光品質認証協会 統括理事不動産鑑定士、MAI(米国不動産鑑定士)、FRICS(英国ロイヤル・チャータード・サベイヤーズ協会フェロー)、CRE(米国不動産カウンセラー)慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である(株)日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事