第4-1 回フランス
〈国民性〉
基本的にキリスト教の教えから事実や論理に基づいた人間関係に重点をおき、すべての個人の行動、言動に対し責任を取らなければいけないが、コモンセンスは常に頭にある
総人口は約6450 万人、民族構成はケルト人、ゲルマン民族(フランク系、ノルマン系)などの混血。宗教はカトリック約80%、イスラム約7%、プロテスタント約1.5%などが信仰されている。公用語はフランス語であり、国内では他国民に対して英語を話さないようにしているが、富裕層はビジネス時や外国旅行のときなど英語が必要なときはグローバル公用語として英語を使うことは日常的である。
〈接待・贈り物〉
昼食でのビジネスミーティングは午後1時~午後3 時頃までが通常である。プライバシーが強調されているため、オフィスのドアなどは必ずノックすること
フランス人はビジネスにおいてコネクションを大切にする、すなわち第3 者の紹介が優先される。ビジネススタイルはフォーマルでかつ保守的であり、何のリクエストでも必ず返事を返すこと。また、約束事は必ず守ることが大事。原則的に外国人の名詞はフランス語を表に、英語を裏に刷るのが便利。ビジネスミーティングでの接待は昼食が好まれるが食事の際、ビジネスの話を始める前に、料理やワインの話を課題にすると喜ばれる。
〈挨拶・ジェスチャー〉
初めてのビジネスミーティング時では、こちらからのお土産やギフトは控えて、2 回目から、人形などの日本の珍しくあまり高価な物でないお土産をあげることは問題ない
基本的な挨拶は、笑顔から始まり軽いうなずき、手を振り言葉の挨拶も交える。ビジネス上では挨拶のときか自己紹介のときに相手が男性であっても女性であっても握手をすることが基本。男性はかなり強く握手をするが、女性は軽く握手をするケースが主流。初対面でも、もし女性の方からハグを求められたら、嫌がらずに素直にフォローすることがマナー。もし頬を寄せ合って挨拶をしてきたら、直接唇は頬にふれずにお互いにキスの音を立てることがマナーである。
〈好む日本食〉
現在のフランス料理の技法や考え方は古代ローマ時代から発達したイタリアの高級料理がフランスに伝わり、現在のような格調ある料理の基礎を作ったと言われている。言わずと知れたワインの名産地。フランス料理はワインとともに発展してきたといっても過言ではない
フランス人の食文化として、朝は家を出る時間が家族それぞれ異なるため食事も各自自分で勝手にとり、朝食は1 年中変わらず主に冷凍したバゲット(フランスパン)をオーブンで暖め、バターとジャムを付けて食べている。飲み物は、大きなカフェオレ・ボールでカフェオレを飲んでいる。
昼食で一番多いのは、サンドイッチを買って、公園か学校の休憩室で食べるパターン。サンドイッチにもいくつか種類があるが、日本の白い食パンはほとんど見掛けない。最もポピュラーなのはバゲットにハム、チキン、ツナ、野菜、チーズなどをはさんだもの。ほかに、柔らかいパン(インドのチャパテイみたいなもの)に肉類、海老などをはさみ、マヨネーズで味付けしたスウェーデン風サンドイッチや、少し香辛料がきいているギリシャ・アラブ系のサンドイッチなどが人気がある。飲み物はミネラルウォーターを常に持ち歩いている。
夕食は家族一緒に食べている。前菜のサラダが出ることもあるが、前菜のないときも多い。メインで一番多いのはイタリアン。もちろん牛ステーキやチキンが出ることもあるし、時には珍しいもの(エスカルゴ、フォアグラ、クスクスなど)が出ることもある。
メインが終わると、必ずフロマージュ(チーズ)を食べる。チーズは必ず2 ~ 3 種類でてくる。面白いのは、前菜とメインは同じ皿で食べても、チーズだけは必ず皿を替えることである。フランスには350 種類のチーズがあるといわれているが、食事における位置付けもそれだけ重要なようである。ほかの国の食事も取り入れられてはいるが、フランスに伝わる古くからの食事の仕方や食べ物を重視した食事で、全体的にみると野菜や魚料理よりも肉料理の割合が多くなっているのである。
日本食に関しては、以前から寿司、焼き鳥、天ぷら、うどん、ギョーザ、枝豆などの人気は高かったが、最近は特にラーメンの人気が高まり、数々の日系ラーメン店がパリに進出している。一方で高級日本料理店もミシュランで星を獲得するなどして店舗数を増やしている。近年では日本食が広まるとともにパリのレストランで日本酒を提供する店も増えている。フランスは欧米の他国に比べて日本文化への理解が深いが、日本食に関しても同じことがいえる。日本食に対する高いレベルでの信頼は既に得られているため、新しい日本食に挑戦するフランス人の割合は多い。
国民性〉
ドイツ人が世界で一番時間に対して几帳面であると言われている。特にビジネス・ミーティングでの2 ~ 3 分の遅れなどでもドイツ人にとっては相手を信頼しなくなるほど、大切なことである
人口約8150 万人、面積35.7 万㎢(日本の約10 分の9)、言語ドイツ語、民族(住民)ドイツ人宗教プロテスタント、カトリック。ヨーロッパ中部に位置、北は北海およびバルト海に面する。北部には平野が広がり、中部から南部にかけて丘陵、山岳部となる。気候は海流の影響を受けて比較的温和だが、南部では大陸性気候となり冬は寒冷である。
〈接待・贈り物〉
英語がドイツのビジネス界では浸透しているが、ドイツ語でビジネスのやり取りをしたいドイツ人の幹部もいる。この事に関しては事前にチェックして通訳が必要なときは必ず用意すべきである
ビジネスでの付き合いのなかでの会話ではあまりプライベートの話はせず、スポーツ関連の話、特にサッカーなどが好まれる。また、ビールに関しては常に話がはずむ。ドイツ人はほとんど朝食ミーティングは好まず、昼食ミーティングが通常である。昼食ミーティングの際、ビジネスの話は食事の前か後に話され食事中はほかの話をするのが通常である。
〈挨拶・ジェスチャー〉
もし男性と女性が一緒に廊下や街中の通りを歩いている場合は男性は常に左側を歩くのが習慣である。もし男性1 人で女性2 人の場合は男性が真中を歩き、その反対の場合は女性が真中を歩くべきである
ドイツ人の男性と挨拶するときは短く、力強く握手をし、女性の場合は手が握手を求めてこなければ会釈だけでかまわない。伝統的な年配のドイツ人の男性は女性の手の甲にキスをする場合があるが、これは外国人には必要がない。ドイツ国内の場所にもよるが、人と会うときと別れるときに握手をするのが通常である。
〈好む日本食〉
シチューや肉料理のような「温かい食事」を摂るのは一日一回以下が普通で、他は「冷たい食事」となる。後者は加熱調理をほとんど使わずに用意できる食事のことで、パン・シリアル、ハム・ソーセージ・サラミなどの塩蔵品、チーズやカードなど乳製品、簡単な卵料理、コールスローやサラダから成り立つ
ドイツの食文化はジャガイモ、ソーセージ、ハム、ザワークラフト(キャベツの酢漬け)、ビール、白ワイン、ライ麦パンに代表されると言っても過言ではない。「ドイツの料理」はフランスやイタリアなど南の暖かい気候で育まれた食材に恵まれた国々の料理とは異なり、風土的に食材が不足がちであるため、これを解消するための工夫が凝らされているのが特徴である。冬季は、作物があまり取れないためマリネやザワークラフト、ヴルスト(ソーセージ)などの保存食品が発達してきた。
フランス革命後、旧貴族やそれに関係した人々が多くドイツに移ってきたため、彼らの影響も受けている。また、ドイツは中小の諸邦がまとまって成立した連邦国家で、しかも東西南北に広がり、南部のバイルエンの山岳地方から、温暖なライン地方、北の湖沼地方まで農産物もバラエティに富んでいるため、一口にドイツ料理といっても数多くのバリエーションがあり、地方によってそれぞれ名前も異なる。
ドイツの料理では、ジャガイモを使った料理が必須のメニューに数えられる。一般的な傾向として、保存食としてのニンジンやキュウリなど各種野菜の酢漬け(ピクルス)、保存された肉や魚の加工や調理が軸になる。魚料理は白身魚のフライとサバやウナギの燻製が有名で、北海沿岸部のブレーメンなどには魚料理を出す店も多い。
ドイツでは豚肉・牛肉・鶏肉が主に消費される肉類であり、豚肉が最も人気があり、国民は平均的に61㎏(130lb)の肉を一年に消費する。ドイツも例外ではなく、以前から日本食の人気は高く特に寿司、焼き鳥、天ぷら、うどん、ギョーザ、枝豆はビールとよく合う食べ物として人気があった。最近ではラーメンの人気が高まり、ほかにもスーパーの一角には日本食材と共に日本酒も置いてあるところが増えている。
オフィス・マスダ 代表
リック・増田
〈profile〉横浜生まれ、アメリカ国籍、ハワイ大学旅行産業マネジメントコースで主にホテルマネジメントとマーケティングを学ぶ。アメリカ在住20 年、1987 年から韓国グランドハイアットソウル副総支配人を含めアジアでのアメリカ企業勤務8 年、93 年ハイアットコーポレーション東京事務所ディレクターオブセールスを歴任。94 年オフィス・マスダ設立。主にグローバル企業でのマネジメント、マーケティング、リーダーシップ、プレゼンテーション、ネゴシエーションスキル教育コンサルティング、バイリンガル人材教育、地域での観光活性化、観光地・ホテル・旅館の英語でのホームページ作成に携わり、最近ではホテル・旅館でのFB 関連の語学&異文化教育トレーナーなども務める。