“日本の芸術文化の世界発信“にも意欲的な伏谷氏率いる「タイムアウト東京」誌。”東京でしかできないこと、究極の101選“を特集した号では日本を代表するアニメキャラクターのドラえもんが表紙を飾った
伏谷 博之 氏 Hiroyuki Fushitani
ORIGINAL Inc. 代表取締役、タイムアウト東京代表
島根県生まれ。関西外国語大学卒。大学在学中にタワーレコード㈱に入社し、2005年 代表取締役社長に就任。 同年ナップスタージャパン株式会社を設立し、代表取締役を兼務。タワーレコード最高顧問を経て、07年 ORIGINAL Inc.を設立し、代表取締役に就任。09年にタイムアウト東京を開設し、代表に就任。観光庁、農水省、東京都などの専門委員を務める。
■IR 時代を迎える日本にどのような見解を持たれていますか?
今までにない広がりをし得る取り組みとして、興味深く開場を待っているといったところでしょうか。IR 始動においては、IR 施設が建設される地元エリアへの貢献についてと、拠点となる施設から送客導線をいかに生み出し、地方創生へとつなげるか。
これら二つの貢献についてどのような可能性があり、またどのような効果が生み出せるか? といった点に特に興味があります。
IR というと、とかく“カジノ”面の問題がクローズアップされがちですが、それはごく一部に過ぎず、多くを占めるノンゲーミング部分が日本経済や観光面に及ぼす影響についてもっと目が向けられるべきですし、そこが持つポテンシャルについて議論や思案がなされるべきだと考えています。
IR を一つの街作りであるという観点から、市場作り、コンテンツ作りがなされるとよいのではないかと考えていて、エリアの作り方一つ取っても昼はこう、夜はこうとそのエリアが持ちうる“顔”を事業者やアーティスト、自治体が一堂に会して検討していくとよいのではないでしょうか。
またコンテンツ面においては、日本は文化芸術振興についてまだまだ取り組みが弱いのが残念な部分でもあります。IR への投資がそういった領域にも貢献すべく生かされるよう働きかけられるとよいですね。
これはフードやアニメ、ポップカルチャーに始まり、文化や伝統にまつわる精神性に至るまで、幅広い範囲で海外の人たちはもちろんのこと、日本人にも伝えていけたらよいなと思います。ナイトマーケットにおいては、箱そのものよりもソフトの魅力がより強く求められていくと思います。
集客力のある魅力的なパーティーやイベントを作れるオーガナイザーやプロデューサーが育つことが課題でしょうか。同時に、これらのコンテンツ情報がうまくユーザーとマッチングされる情報発信の仕組み構築にも、さらに力を入れていくことが大切でしょう。
観光庁をはじめとする数多くの行政で委員を務める伏谷氏。
インバウンドや地方創生に関する講演依頼も多く、かみ砕いた形での講演スタイルが好評を博している
タイムアウト東京主催のトークイベント『世界目線で考える』。毎回テーマにそってゲストが招かれ、イベントの様子はWEB上でもテキスト公開されている。7月には、統合型リゾートと文化振興について取り上げた