金融機関への就職を熱望していた父の思いを断ち切り、学生時代にレストラン関係でアルバイトした経験から接客業が向いていると判断し、観光業に一歩踏み出したのが、藤田観光グループで45 年間勤め上げたT.KSalling Coporation 田口泰一社長だ。20年間携わった企画開発事業では現在、全国各地で建設ラッシュが続いている宿泊特化型の事業モデルとして高く評価された。
そこで今回はさまざまな問題、課題を抱えながらも運営しているホテル業界における人事や人材育成のあり方について率直なご意見をお聞きした。
福永 プロフィールを拝見すると、大学卒業後から45 年間にわたり藤田観光グループ一筋に務めらていらっしゃいます。初めに今日に至るまでのご経歴をお聞かせいただきますでしょうか。
田口 45 年間のうち通算で約20 年間、企画開発部としてホテルを造ることに務めてきました。ワシントンホテルの用地、施設開発に携わり、首都圏を中心としたナショナルチェーンの確立を行ないました。この事業モデルは業界のパイオニアとして高く評価され、後発の同業他社の研究モデルになったほどです。また平成4年にはフォーシーズンズホテル開発に携わり、日本におけるラグジュアリーホテルの草分けとして貢献しました。平成15 年には婚礼業態開発にも着手し、ゲストハウス型結婚式場の開業を行ないました。
また平成17 年には最新機能を兼ね備えた高級志向のビジネスホテルの開業や低迷していたワシントンホテル事業の再生や平成21 年には観光事業の一環として海運業界にも着手するなど、さまざまな業態を経験してきました。退職後、2020 年の東京五輪開催に向けたホテル新規案件の企画開発やこれまでの人脈を生かして客室清掃やリネンサプライへの技能研修生の受け入れなどを行なっています。