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第四回 大貫冬斗  コーネル大学 MBA 留学体験記 

第四回: ホテルスクールのクラスメイト紹介

【月刊HOTERES 2019年05月号】
2019年06月11日(火)
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コーネル大学ジョンソンスクールの大貫です。今回も、ホテルスクールのクラスメイト紹介として、Master of Management in Hospitality(MMH)生として学ぶKrutiに、進学に至ったきっかけ、学校での学びと活動、そして卒業後のビジョンについて伺いました。
 


ファイナンシャルアナリストからホスピタリティの道へ

 インドの大学にて、エンジニアリングとインフォメーションテクノロージーの学位、ファイナンスMBAを取得したKrutiは、エクイティバリュエーションファームにおけるファイナンシャルアナリストとしてキャリアをスタートさせました。その後2年間、米国と中東マーケットにおける新規IPO案件を中心にバリュエーションを担当。シニアファイナンシャルアナリストに昇格し8名のチームを率いながら充実したキャリアを送っていた一方、仕事のウエイトが重く、平日は毎日12時間勤務で週末は一日中寝ている、といった生活を送っていました。そんな中迎えた25歳の誕生日、これから先何をやっていこうかと考えを巡らせた時に、2年前に両親とドイツのベルヒデスガーデンという街へ旅行に行った際に滞在したB&B(ベッド&ブレックファースト)がこれまで見たことないほど綺麗だったことをふと思い出したそうです。それを境に、リタイア後の将来の夢として、ドイツで見たように綺麗なB&Bを持ちたいと考えるようになりました。

 その後も仕事は順調に進んでいたものの、将来ずっと続けていきたいという仕事ではなかったため、会社を離れる決意をします。その後、別のフィナンシャルモデリングの会社からオファーをもらうものの、月曜から土曜まで毎日14時間の勤務、そして日曜日も自宅で勤務と、理想とする勤務条件ではなく、一旦キャリアを白紙で考えることにしたそうです。
 
 改めて自分のキャリアについて考え直す中で、自分のPCのブックマークに多くのホテルが登録されていることに気づいたKruti。思い返せば、ホスピタリティ関連企業のバリュエーションも数多く行ってきた中で、ホテルビジネスに興味を抱いていました。25歳の誕生日にぼんやり浮かんだ、自分のB&Bを持つという将来の夢と合わせて、次のキャリアとしてホスピタリティビジネスにチャレンジすることを決めたそう。これまでとは違う世界に飛び込むにあたり、まずは業界の知識をしっかりと身に着けるべきだと考えたkruti。しかし、ホスピタリティマネジメントについて、どの様な勉強をしたらいいのか初めは見当もつかなかったそうです。その様な中で、コーネルホテルスクールのMMHプログラムについて調べだすと、提供されている科目それぞれに興味を惹かれ、ホスピタリティマネジメントについてどれだけのことを知らないのか改めて気づかされたと言います。
 

ホテルスクールで学ぶアントレプレナーシップ

 そのような経緯で、コーネル大学ホテルスクールに進学することを決めたKruti。MMHプログラムでは、アントレプレナーシップのコンセントレーションを専攻しています。同コンセントレーションを担当するNeil Tarallo教授は、彼女が最も好きな教授。ビジネスを立ち上げるにあたって、解決すべき課題を定義し、リスクをコントロールし、マーケティングを的確に行う等、とても良く構造化された学びを得ることができる点に非常に満足をしているとのこと。
Krutiにもこれまでに履修したクラスのベスト3を聞いたのですが、真っ先にTarallo教授のクラスをあげてくれました。
 

  • Developing Service Based Business Models and Plans (Neil Tarallo)
サービスビジネスの起業を疑似体験するクラス。は他名のクラスメイトとグループを組み、体験型のハイエンドグランピングビジネスを企画。実際のビジネスの立ち上げに近い形で、マーケットとのコミュニケーションを通してバリュー・プロポジションを確認・検証し、フィージビリティスタディからモデリングまでを行う。
 
  • Services Experience Management and Marketing (Robert Kwortnik)
前号でも挙げていた顧客経験マネジメント・マーケティングのクラス。マーケティングのバックグラウンドを持たないにとっては、ホスピタリティビジネスに対する全く新たなアプローチを学ぶ機会となったそう。
 
  • Revenue Management (Christopher Anderson)
需要予測に基づき、損益分岐点等の条件を考慮に入れながら料金をいくらに設定するべきかについてのモデルを作る。将来の&経営を視野に入れて勉強しているそう。
 

 授業以外の活動では、Hotel Graduate Students Organizationという学生委員会の活動を行ったり、ホテルスクールが提供している、ホスピタリティ産業での起業を目指す退役軍人を対象としたトレーニングプログラムであるEntrepreneurship Bootcamp for Veterans(EBV)のjudgeを務めたりしているとのこと。
 
 一緒に学ぶMMHのクラスメイトについて聞いてみたところ、みんなそれぞれの目的を設定していて、この先何をしたいかを考えており、それにフォーカスした人が多いという印象とのこと。出身地だけではなく、経験も、学びに来た目的も多様で、クラスメイトとの交流を通して学ぶことがとても多いそう。例えば、Kruti自身はレベニューマネジメントにフォーカスしたキャリアに進む予定はないものの、将来のB&B経営のためには必要な知識のため、その分野でのキャリアを目指しているクラスメイトに教えてもらったりするそうです。

 
様々な可能性が広がるポストMMH

 最後に、卒業後のキャリアについても聞いてみました。ファイナンス関連のオファーはいくつかもらっているものの、今後自分自身でビジネスを立ち上げる時のことも考えて様々な可能性を検討しているとのこと。例えば、クラスメイトが進めているサウザンド諸島でのレストランと5室のホテルを立ち上げへジョインする、または、自身のビジネスプランとして検討した、インドでの男性向けグルーミングビジネスを本格的に立ち上げるなど、アントレプレナーシップを経験できる機会を中心に考えているそうです。
 
 ファイナンスのキャリアから、ふとしたきっかけでホスピタリティビジネスを目指すというドラマチックなストーリーの一方で、「インダストリーをかえる前にしっかりした知識を身につけるために進学を決めた」や「知識や経験、資本の面から、卒業後すぐにB&Bを始めることは考えていない」といったように、自らの目標へのプロセスを冷静に語ってくれたKruti。夢を夢として諦めるでもなく、無謀な賭けに出るでもなく、MMHという機会を最大限活用して着実に目標へ向かっている姿にとても刺激を受けました。その情熱と学びは多くの人に認められ、4月には、Entrepreneurship at Cornell Celebration 2019というイベントにおいてPathways to Entrepreneurship: Families, Foodies and Hospitalityというセッションのパネリストも務めるそうです。また、Krutiのような目標を持つ学生のために、充実したアントレプレナーシップ関連のクラスや機会があることを改めて教えてもらうことができました。



KRUTIの週間スケジュール
 

Kruti Sheth
インドのNarsee Monjee Institute of Management Studiesを卒業後、エクイティバリュエーションファームARANCAにてシニアファイナンシャルアナリストとして勤務。現在は、コーネル大学ホテルスクールに進学しMaster of Management in Hospitality(MMH)取得を目指す。Hotel Graduate Students OrganizationにてTreasurerを務める。



連載執筆者の紹介
大貫冬斗(おおぬき・ふゆと)

早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、総合不動産デベロッパーにてリゾート開発・運営事業ならびに空港コンセッション等投資事業を担当。2016 年より㈱ホスピタリティオペレーションズ勤務、現在は休職しコーネル大学ジョンソン・スクールにてMBA 取得のために留学中。
 
・コーネルMBA 日本人在校生サイト
 (https://johnson-japan.jimdo.com/
・ブログ Johnson Lifelog | Cornell MBA 留学記
 (https://www.fuyu.tokyo/

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