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本誌 松沢良治  ニュースな話&人物クローズアップ 

箱根の老舗旅館「一の湯」旅館を積極的に拡大し客室数を広げ、価格に負けない価値を提供していこうと変革を続ける株式会社一の湯

【月刊HOTERES 2019年04月号】
2019年04月23日(火)
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 箱根塔ノ沢にある「一の湯」である。箱根で2 番目に古い歴史を背負った旅館だ。設立は寛永7(1630)年というから389 年も前のことになる。
 
 一の湯の現社長は16 代目の小川尊也( たかや) 氏。父親は15 代社長の晴也氏。15 代は倒産寸前の旅館を引き継ぎ、経営を大刷新。奇跡の復活を遂げ、その軌跡は漫画になったほど。講演も人気があり、業界では名物社長であった。現在は相談役として経営の座を昨年8 月、息子に譲っている。
 
 その後を継いだ尊也社長が目指すのは“ 宿泊による日常生活提案”。「一つ先を行く価値」と「革新と進化」を掛け合わせて「宿泊の常識を変え、宿泊によって日常生活の豊かさを提案する」という指針を会社経営の中心に据えている。常に人のために、社会貢献のために、お客さまと共に前進して行きたい、と全社一丸となって考えている。
 
 具体的には「宿泊料を下げて価格以上の価値を生み出そう」とし、これまで以上の集客を実現しようというもの。<客数が多い=社会貢献>という図式が尊也社長の頭にはしっかり根付いている。これは父親からの教えもあるが、尊也社長の以前の職場にも関係してくる。
 
 尊也社長は大学を卒業と同時に外食チェーンのサイゼリヤに勤務しており、創業者の正垣泰彦氏に心酔。宿泊業とレストラン業の違いはあれど、お客さまにサービスをして喜んでもらうスタンスは同じ。数の力は大きいという正垣氏の経営哲学も取り込んでの経営方針である。
 
 そのため今後は積極的に客室数を増やす戦略に打って出ていく。8 月には箱根・すすきの原に29 室の旅館を新設。同じ場所に17 年に38 室の旅館をすでに開業しているが、その隣に増設。1 泊2 食で1 万5000 円~。各部屋に露天風呂も付いており周辺の同等の施設と比べ破格の料金となる。
 
 また9 月には、箱根湯本温泉にある東京都職員共済組合所有の保養施設「箱根路開雲」(36 室、138 名収容可能)の運営を受託。箱根湯本駅から徒歩8 分で須雲川沿いの好立地。豊富な湯量と雄大な景色が楽しめる、露天風呂が自慢の旅館を手中に収めるなど積極経営を進めている。
 
 このように現在所有している自社物件だけでの成長には限界があると判断。手段を広げ、2045 年までの長期戦略において200 店舗まで目標を掲げている。
 
 ちなみに現在の店舗は以下の通り。
◎塔ノ沢一の湯本館/塔ノ沢キャトルセゾン/姥子温泉芦ノ湖一の湯/仙石高原大箱根一の湯/塔ノ沢一の湯新館/仙石原品の木一の湯/ススキの原一の湯

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