CAVAセミナーを行なったカバ原産地呼称統制委員会のシルヴィア・グリマルドさんと、10 種類のカバをテイスティング、コメントしたロス・ビノスの櫻井一都氏
カバ原産地呼称統制委員会が示す高付加価値化へのベクトル
スペインのスパークリングワイン、カバ(CAVA)がコストパフォーマンスと高付加価値の両軸にマーケットを広めている。カバ原産地呼称統制委員会は10月28 日、スペイン貿易庁とスペイン大使館経済商務部の後援により長期熟成型のカバの魅力を訴求するセミナー「“ プレミアムCAVA” を巡る旅」を開催した。カバを含むスペインのスパークリングワイン、エスプモーソの日本での輸入量はフランス、イタリアに次ぐ3 位。一方スペインにとって日本は輸出先で第5位の国だ。一般的には瓶内二次発酵でありながら低価格な発泡性ワインとして日本のみならず世界各国で支持されている。こうした中で現地委員会が新たな方向性を示したのが、熟成期間の長いプレミアムカバだ。2016 年には新カテゴリー「カバ デ パラヘ カリフィカード」(Cava de Paraje Calificado)を導入し、2017 年から発売。日本ではこれを「特選区画カバ」と呼んでいる。
カバは通常、9 カ月以上熟成したトラディショナルをすそ野に、15 カ月以上の熟成を施したレゼルバ、30 カ月以上のグランレゼルバとグレードが高まり、特選区画カバは36 カ月以上の熟成が必要だ。ブドウの栽培面積1ha 当たりの収穫量は平均で12トンであるのに対して、特選区画カバでは10 年以上の樹齢のブドウから、手摘みによる8トン、最大搾汁量も4800ℓに制限されており、ブリュット以上の辛口タイプでヴィンテージカバのみが生産されている。現在、特選区画カバに認定されているのは11 社が保有する14 区画、銘柄にして19 銘柄だ。
1872 年にカタルーニャ州バルセロナ県のサン・サドゥルニ・ダノイアで、トラディショナル製法による最初のカバを製造したコドルニウをはじめとした特選区画カバの熟成期間は、規定をはるかにしのぐばかりか、香りや味わいの広がり、深みも従来のスパークリングワインとは一線を画すと言って良い。レゼルバ以上のプレミアムカバの2017 年の輸出量は、ベルギーの280 万本、米国の140 万本に続き111 万本で世界3 位。前年比で3.61% の増加だが、今後さらなる市場の拡大が見込まれている。既存のシャンパーニュユーザーへの提案カードとしての存在も含めて、プレミアムカバの可能性には一目置いておきたい。