▪分析手法
ここで一番現状の分かる方法を説明します。まずは前回でも少し述べましたが、そのレストランの繁忙日、閑散日別に1 時間単位もしくは30 分単位で何人のお客さまが店に滞在しているかを計ります。レストランの顧客平均滞在時間によっても異なりますが、1 時間単位で計るのが一番分かりやすいかと思います。また、そのレストランで同じ時間帯でスタッフがどれだけ従事しているかを計り、同じグラフの中で客数波動と比べます。そのベースとなる表が【図①】になります。
7 時~ 23 時まで営業しているオールデイダイニング(朝食からランチ、カフェ、ディナーまで賄っているレストラン)を例にしています。【図②】のグラフを見ていただくと分かるように実線が客数、点線がスタッフ数です。それぞれの時間帯において何名のお客さまに対して何名のサービススタッフが働いているかを表しています。そこで見るべきポイントは2 つの波動が同じか、もしくは似ているかということです。客数波動と同じようにスタッフ数の波動が描かれているかどうかでその時間帯に十分なスタッフが配置されているのか、もしくは無駄なスタッフが配置されているのかがグラフ化することですぐ分かります。
しかし、ここで加味すべき点があります。それはスタッフが接客以外の業務を行なっていることもあるという点です。実際レストランが7 時にオープンとすると、その準備でスタッフが6 時から7時までに2 名配置されています。当然、お客さまはゼロであってもスタッフは配置されているということです。また、ランチブッフェの準備、片付け、発注業務などデイリー業務からウイークリー・マンスリー業務までそれぞれあるかと思います。それらをどの時間帯にどれだけの人数でこなしているかということをこのグラフの中に加味させることが必要です。グラフの中でも11 時など客数が少なくなっているにもかかわらずスタッフが配置されてます。これは朝食の片付けからランチの準備のためでもあり、その他の業務をする時間にも使うことが効率的な最大限人材を活用するオペレーションにつながっていきます。どの時間帯にどれだけの業務を行なうことが最善かをこの可視化されたグラフを見ることによって分かります。またなかなか残業時間が減らないと悩むホテルレストランも多いかと思います。特に遅番で閉店後もスタッフが残って業務を行なっているパターンが多いのが現実です。果たして、その業務は閉店後にしなければならない業務かをしっかりと現場レベルで精査する必要があります。その業務を実際に営業時間内であってもお客さまの数が少ない時間帯であればその中で行なうことも可能な場合もあるはずです。時間業務を別の時間にずらすことも改善アクションの一つです。今回はこのグラフに反映させていませんが、時間帯別に業務内容とそれに要する人数を加え、グラフに反映させるとその時間に行なうべき業務かどうかの判断も可能になります。把握、分析を行なうときは可視化させることが何よりも近道です。【図①】の状態ではなかなかそのような精査や分析もできません。
次回はその接客以外の業務を含めた分析を可視化させて説明をしていきます。さらに、あらゆるアクションを起こしたときにどのような結果になったかを容易に把握、判断のできるFTE 管理についても解説していきます。