壮大な夢に挑戦する。歴史に名を残す偉人たちは例外なくそうしたチャレンジ精神を持ち合わせ、ありえないことを成し遂げてきた人々であろう。マグロの完全養殖を目指して研究所を立ち上げた世耕弘一氏は紛れもなくその中の一人と言える。
彼は、近畿大学初代総長で「海を耕し、海産物を生産しなければ日本の未来はない」という理念のもと、和歌山県白浜町に臨海研究所(現:水産研究所)として開設。当時は遠洋漁業しかなかった時代であり、研究は困難を極めたが強い信念により研究を進め、世界初となる画期的な数多くの研究成果を収めてきている。例えば、海産魚養殖の手法として世界中で普及している「網いけす式養殖法」は、1954 年に近畿大学が初めて手掛けたもの。