ウェルカムドリンクから始まるプロセッコの飲み比べ。イベント中盤からはジュヴレイ・シャンベルタンやアマローネなどスペシャルワインも提供された
プロセッコDOC ワイン保護協会が特別協賛。8月にプロモーション開催
静岡・三島のレストランやワインバーによって開催されてきたイベントの生産者と売り手、消費者の一体感に関心が高まっている。3 年目を迎えたこのワイン会「WINE BAR MISHIMA」( 以下、WBM) は三島市緑町の#dilettante café & waltz.(ディレッタント カフェ& ワルツ)を会場に6 月3 日に行なわれ、天候にも恵まれてこの土地らしさを醸し出していた。
初開催の2016 年は参加店舗それぞれが持ち寄る“ 蔵出しワイン” が話題を生み、店舗とゲストがともに楽しむ会として好評だった昨年のWBM。今年はイタリア・ヴェネト州トレヴィーゾに本部を置くプロセッコDOC ワイン保護協会による特別協賛で14 種類のプロセッコが提供された。プロセッコは世界で最も多く消費されているスパークリングワインで、プロセッコDOC では年間4 億4000 万本を生産。より生産地が限定されるプロセッコDOCG を合わせると5 億本を超える。日本でもイタリア料理店を中心にカジュアルに楽しめるスパークリングワインとして普及しているが、更なる知名度や認識の向上のため昨年には初めて日本におけるレストランプロモーションを開催。今年も8 月に全国的に実施予定で、三島市では重点的に参加店を募りプロモーションを行なう構えだ。この日の14 種類はプロセッコDOC の中心的存在であり、味わいの中核をなすブドウ品種、グレーラの個性が表現されているエクストラドライを中心に、辛口志向に応えるブリュット、単一年度を表記するヴィンテージタイプのミレッジマートやオーガニックワインなどバラエティに富んだボトルが並び、それぞれの香りや味わいの違いを楽しむ姿があった。
すべての関係者と顧客の良好な関係性がうかがえる
川辺でワインを楽しむ様子は、#dilettante café & waltz. オーナーの四宮夫妻が描いていた姿
会場で提供されたサンダルを履いて川の中へ。市街に複数の川が流れ、水の都と呼ばれるこの地のらしさがあふれた
水の都・三島のテロワール
この日の会場は清流に臨むカフェ。三島の市立公園である楽寿園から南へ流れる源兵衛川に沿う景観は地元客のほか観光客にも評判だ。くるぶしからすね程度の水深の小川に足だけ漬かり、川で冷やしたプロセッコや白ワインを楽しむ姿はこのイベントの狙いとしていたところだ。料理にも力が入る。参加各店のシェフによるブッフェテーブルや店外でのバーベキュー、3 階店舗のwaltz. ではすしコーナーも評判だ。また、モンテ物産やモトックス、アイコニック・ワイン・ジャパン、地元のワインとして認識されている中伊豆ワイナリー シャトーT.S といったなじみのあるインポーターやメーカーもゲストと接し、ミニセミナーが始まると真剣に耳を傾けるゲストの人だかりができる。ワイン愛飲家の多い街を象徴している姿だ。
さらに、LUCA WINE と和楽という酒販店の存在も、地域イベントのクオリティーを支えている重要なポイントだ。メーカーやインポーターと料飲店をつなぐ酒販店は、直販やネット通販の普及・拡大があっても必要な存在だ。情報力や課題発見・解決力を持ち、相互にリスペクトできる関係性はゲストにもきちんと伝わり、量販店とは異なるワイン消費を生み出すだろう。アコーディオン奏者の杉山卓氏のメロディが川のせせらぎと見事に溶け合い、やはり地元・三島を中心に活躍するアーティストの清水詔子氏による特製ワインバッグやT シャツも注目を集めた。
酒、食、アートに自然が加わり、文化的要素が醸し出される。イベントを成功に導くポイントもテロワールだということを、WBM が伝えてくれている。