人事考課とはまぎれもなく評価のことです。何をすれば評価してもらえるのか、職位に合わせた評価基準を設定しましょう。とはいえ、これは簡単なことではありません。時間をかけて設定する必要があります。会社として何を求め、何をすれば評価され、どうあるべきか。これが明確になっていないことが多いのです。
人事ポリシーとは、御社が求める『人材像』を明確に提示することであり、求める人物像に近づけるために行なうことが『育成計画』です。御社がどのようなタイプの人材を求めているのか、あるいはどのような人財に育成したいのかということです。人事考課とポリシーが連携して初めて定着と育成が図れるのです。
例えば目標となるべき人財として①前向きな姿勢、②高い成果達成意欲と実際の成果、③コミュニケーションスキルを兼ね備えた人物であると定めたとします。次に具体的にどのような状態であれば目標に達した状態であるかを定めていきます。『前向きな姿勢』とは具体的にどうあることが前向きであるのかを検討します、例えば、『自らが主体的に行動した成果として明確に説明できる成果やアクションの有無があること』とします。このようにしてより具体的に説明可能な状態にしておくことが重要なのです。
②の高い達成意欲は、実際に獲得してきた成果について定性的あるいは定量的に説明してもらうことがベストでしょう。重要なことは定性的、定量的な観点で評価することです。成果については定量的説明で。数字では表現できない事についてはヒアリングなどを活用して状況を把握し、評価していきます。
③のコミュニケーションスキルについても同様です。コミュニケーションスキルを体得している人財を育成したいのであれば、コミュニケーションスキルを身に着けていることを定義する必要があります。コミュニケーションとは意思疎通ですので、例えば『コミュニケーションが何であるかを正しく理解し、実際に日々の中でコミュニケーションを図る機会を設け行動していること』と定義し、実際にその本人が活躍していることを確認するのも良いと思います。
このように、人事ポリシーにより自社が求める人物像を設定し、その人物像に近づくために定量的・定性的に行なっていること、得ている成果について評価することで社内の人財は正しく評価しようという姿勢を感じ取り、モチベーションは高まります。
最後に『育成期間』についてです。私はこれを『キャリアプラン』と呼んでいます。自分のキャリアをステップアップさせるためのイメージを作り上げていきます。人事部は社員が、会社が期待するキャリアプラン通りに成長していることが明確になります。例えば40 歳になった社員がいるとしましょう。会社はこの社員に対して、『もっと広い視野でものごとを捉え、自分のことだけではなく部下や後輩の育成までできればなぁ』と思い、社員は『私は毎年予算達成のために全力で仕事をしているのに見てくれない』と見解がずれてしまうことがよくあります。そうならないために、キャリアプランにより何歳までにどの程度のレベルでいて欲しいか、あいはいなければならいのかを共有するのです。
何をすれば評価に値するのか、何を期待されているのか、いつまでにどの程度の人財でいなければならないか、社員と人事が明確に共有することが大切なのです。人事に正解もゴールもありません。人を評価することはそれだけ難しいのです。しかし、可能な限り精度を高めようと努力することが最も大切なことです。これからも社員と会社が信頼関係を維持してまいりましょう。