北村剛史
Takeshi Kitamura
㈱ホテル格付研究所 代表取締役所長
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士、MA(I 米国不動産鑑定士)、FRICS(英国ロイヤル・チャータード・サベイヤーズ協会フェロー)、CRE(米国不動産カウンセラー)慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である㈱日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事
これまで幾度となく、ホテルの人格についてご紹介しました。
ホテルの人格とは、ホテルや旅館の宿泊体験を経て、事業用不動産を擬人化するあるいは、支配人等の顧客が接した実際のヒューマンウエア・パーソナリティーが複雑な体験をシンプル化する過程において生じる現象としてとらえることができます。弊社実施のアンケート調査では、ホテルや旅館での滞在体験を通じて「これまでにホテル・旅館に対し人格を感じたことがあるか」という質問に対して、約21%の人が「ある」と答えていました。施設カテゴリーで見ますと人格性を感じたという人の約46%が旅館でした。また約28%がリゾートホテルであり、約19%がシティホテル、約7%がビジネスホテルという結果でした。さらに「人格を感じたホテルにまた行きたいか」という質問に対しては、約88%の人が「頻繁に行きたい~いつか行きたい」と答えていました。
「感じた人格が具体的に『誰』に近いと思うか」という質問に対しては、多くの人が「フロントスタッフ」や「接したスタッフ」に近いと答えていました。また旅館では特に「女将」の影響を強く受けているようです。これらスタッフ以外で人格性の源泉を探りますと、「全体を通じて自然に生じていると思う」という回答が多く、その他「ブランド」、「支配人」、「客層」へと続きます。人格発現の契機がどのようなものであれ、このようにホテルの人格が生じた際、顧客のリピーター化に大きく貢献することが分かっています。今回は、このホテルの人格と客層両者の関係およびそれがどのように顧客満足に影響を与えているかをさまざまな調査結果に基づき整理したいと思います。